ストレスって悪いもの?~”ポジティブなストレス”って、ご存じですか~
尾上 悠太
私たちは日常的に、「ストレスを発散したい」とか、「最近ストレスが溜まっている」など、様々な場面で“ストレス”という言葉を用いていると思います。
また、その多くはネガティブな内容ではないでしょうか。
しかし、元々“ストレス”という言葉は物理学で使用されていたもので、その意味は、『外部からかかる力による物質の歪み』つまり、簡単に言えば『圧力』で、本来は良いも悪いもありません。
医学で”ストレス”という言葉が使われ始めたのは、1936年にハンス・セリエによる『ストレス学説』が発表されてからのことで、医学的には、外部からの刺激に対する「身体や心の反応」のことを”ストレス反応”と呼び、その反応を生じさせる刺激のことを“ストレッサー”と呼んでいます。
つまり、「職場の人間関係が上手くいかなくて悩んでいる」というネガティブなこともストレス(ディストレス)であれば、「出世してお給料が上がった」というポジティブなことも実は”ストレス”なのです(ユーストレス)。
しかし、世間一般的に言われる“ストレス”の多くは前者であり、私たちが携わっている重度訪問介護もその例外ではありません。
では、なぜストレスにそのようなマイナスイメージが先行しているのか。
それは、「重度訪問介護」という職種が、生命を左右する判断や処置など、緊張感の高い仕事を行うことが多い、さらにクライアントの死、インシデントやアクシデントに遭遇することがあるなど、不安や悩みを抱えやすく、「ストレスがマイナス方向に作用しやすいから」ではないかと考えています。
それを少しでも改善するためには、日頃からアテンダントとのコミュニケーションを設ける機会を持つことが、非常に大切であると考えています。ただ仕事柄、直行直帰がほとんどであるため、意識的にコミュニケーションを図らないと、ディストレスに気付くことはなかなか難しいのも事実で、また、実際に直接話してみても核心までは聞き出せないということも多々あります。
では今度はどうするか、それは”ユーストレス”をアテンダントに感じてもらうということです。
「全ての方が生き甲斐を持って暮らせる社会をつくるための担い手となっている」ということ、「正解がない重度訪問介護という世界に身を置くことで、何が一番クライアントにとってベストなのかを考えられる非常にやりがいのある仕事」であるということ、「株式会社土屋という全国規模の会社に勤めている」ということ、「今後、福利厚生が必ず良くなる」ということなどをたくさんお話して、アテンダントにとって何が一番ユーストレスを感じるのか、それを見出すことで定着率のアップにつながり、より多くのクライアントの声に応えられるのではないかと考えます。
私は今現在コーディネーターとして従事していますが、ここまでこなせているかというと決して100%とは言えないため、今年は「より多くのアテンダントにユーストレスを感じてもらう」ということを抱負にして、1年過ごしていきます。
最後までご高覧いただきましてありがとうございました。
プロフィール
尾上悠太(おのうえゆうた) ホームケア土屋 長崎
長崎県出身。
釣りが趣味で、30分や1時間程度の短い釣行も含めると年間釣行200日ほど。