「喜ばれる仕事」
大野隼人(ホームケア土屋 九州)
農業や水産業、運輸業やネットビジネス等々、世の中には数多の仕事があります。
では、そもそも仕事とは何なのか。
まず仕事とは、ただの言葉です。そこに「~のために仕事をする」と、意味を持たせることで生きたものになると考えます。
例えば「生計を立てるため」、「何かを成し遂げるため」など人によって様々な考えがあると思います。
私が仕事に持たせている意味は「人に喜んでもらうため」です。
喜ばれない仕事はないと思いますが、疲弊していたり、人間関係、金銭関係など、様々なしがらみの中で、念頭であることをどうしても忘れがちになります。
私自身、社会人になった当初は少なからずあった、この「意味」を、仕事を続けていくうちに持たせられなくなっていました。忘れてしまっていたのです。
只々がむしゃらに、「お金持ちになりたい」「地位が欲しい」「偉そうにしたい」などといった気持ちが原動力だったように思います。
必ずしもそうではありませんが、このような志のみで動いていると大きな壁に当たってしまいます。
その時にどう考えるか、「こんなに頑張っているのに、どうして周囲は思ったように動いてくれない、なぜ報われない…」
一度はこのような思考に陥ってしまっても良いと思います。
そこからどう転じるかが重要です。「原点回帰」という言葉は大半の方がご存じと思いますが、まさに「それ」です。
社会人になった最初の気持ち、志、何をしたいと思っていたか。
壁に当たった時にこの考えに立ち戻れるかが大切です。
不器用な私は何度も壁に当たっては立ち戻るを繰り返していました。やっと気づいたのは社会人5年目になってからでした。
当時東京の飲食店で店長をしていた私のもとに、本部採用で入職してくる新人さんは8割以上が日本語もままならない海外の方でした。
「一生懸命働きます、頑張ります!」と、意気込みはたっぷりです。
ただ、彼らは「頑張っている」の基準を自分自身のさじ加減次第にしていました。
「私はこんなに頑張っている!」と。私の考える「頑張っている」は、人に言われて初めてそうなんだと思えることでしたので、相反する思考でした。ただここで矛盾が生じます。
自分が壁に当たった時に「こんなに頑張っているのに…」と、同じことを思ってしまっていたのです。しかも当たる度に。
他者の、自分と同じ思考を垣間見ることで気づかされました。
彼らにはこう伝えました。「頑張っているかどうかはお客様が判断する。だからお客様を沢山喜ばせなさい。」
そして私自身には、毎日1回以上、原点回帰するという習慣を課しました。
現在の介護の仕事についても、同様の「意味」を持って従事させていただいております。
程度や加減は様々ですが、「喜んでもらうこと」を念頭においていれば、こんなに楽しいことは私は他には知りません。
プロフィール
大野隼人 ホームケア土屋 九州
大学を中退し、飲食の道へ。
専門学校時代に料理の大会で全国総合4位。
卒業後は京都の料亭に入職する。
その後大阪、東京、長崎で店長職、新店舗の立ち上げや売上げ、シフト管理を経験する。
肩を負傷した事がきっかけで介護の世界へ。
剣道三段、ふぐ取扱登録者、調理師免許、大型自動二輪免許、実務者研修取得
趣味は釣りと料理。
現在も飲食店オーナーから新しいメニューや人材育成の相談を受け、無償で対応している。