「できるかどうか不安だな~」という方は、先ずは週一回だけやってみては?
小川力信(ホームケア土屋 関東)
私が「介護の仕事」についた理由は、ズバリ自分のばぁちゃんが好きだったからである。
高齢者を支える事は、世話になったばぁちゃんに少しでも恩返しが出来ると思ったので高校時代から決めていた。
今思うと、我ながらずいぶん単純な人間だなと感心する。数多の可能性の中から、早々に介護職を決め打ちしていたのだから。
当時は、介護保険制度が創設されたばかりで、国は介護サービス提供のための制度整備に向けた諸施策・制度の推進とともに、介護に従事する人材の確保・育成に希望を燃やして取り組みだしたばかりであった。
世間的に見ても、なんとなく「これからは介護が来る!」という風潮があったのだ。だから進学校だったのに福祉の専門学校に行くと言った私に対して、うちの親も素直に喜んでくれた。
私自身も、これからの輝かしい未来に向けて、意気揚々と学生生活を送っていたわけだが、もちろん楽しい事ばかりではなかった。
ヘルパー2級の資格を取得する為に、施設実習に行った時である。
高齢者が何十人も集団生活しているその姿は、私の日常では全く見た事のない光景だった。それはまさに非日常で、異様に見えた。
「ばぁちゃんだけじゃなくて、じぃちゃんもいるじゃん。」
介護保険施設なのであるから当たり前なのだが、当時はその光景が私にとってショッキングだった。そして更に追い打ちをかけるように試練はやって来た。
「排泄ケア」である。
そもそも介護職になるための一番のハードルは、「他人の排泄に介入する事が出来るのかどうか」といっても過言ではないと、勝手に思っていた。
特に便の後始末が出来るのかどうか、すごく不安だった。この時、私自身に高齢者支援の適性があるのか、実習中に判断したいと思っていた。
5日間の実習を無事に終えた時、2つの事を感じた。
まず1つ目は、私に介護職としての適性があるという手ごたえと安堵感。排泄だけでなく、高齢者とのコミュニケーションに関しても、抵抗なく笑顔で関わる事が出来たからである。
もう1つは、実習指導者の高齢者に対する接遇が素晴らしかった事。ついでに美人だったので、高齢者に関わる姿を見ているだけでドキドキした。
「あぁ、自分もこんな風に仕事がしたい。あわよくばこんな素敵な人と一緒に仕事がしたい」と。
この「介護職としての適性」と「介護の魅力」を、実習中に感じる事が出来るかどうかというのは、今後の人材確保において大切なポイントになり得る。
ただその当時はとにかく単純に、これから自分が介護職として働いていけそうだという安心感とワクワクが溢れていた。
とまあ、私の場合はこのようにして介護の仕事の門を開いたわけであるが、まさか20年以上も続けるとは思わなかった。なんだかんだ言って、この仕事が好きなんだなぁと思う。
そして20年以上経過した今も変わらず、人と人との間で毎日わちゃわちゃ働いているし、この仕事を続けている自分をちょっぴり誇りに思ったりしている。
プロフィール
小川力信 ホームケア土屋 関東
埼玉県川口市在住。
基本的に寂しがりや。そのわりに一人の時間も好きという面倒な人間です。
妻と子供3人と犬2匹とワイワイ騒がしく暮らしつつ、一人でゲームしたり本を読んだりして毎日楽しく過ごしています。
趣味はキャンプで、焚火をしながらウイスキーを飲むのがたまらなく大好きな43歳です。
介護経験は高齢者支援で20年、最終的には介護老人保健施設の副施設長をしておりましたが、施設の高齢者支援の対局の位置にあるといえる在宅の障害者支援を実践したく、土屋に入社。障害支援はホヤホヤの新人1年目です。
保有資格は介護福祉士とケアマネージャーの資格を持っております。
前職では、高齢者支援の中でも認知症支援に注力していたこともあり、東京都の認知症介護指導者として地域の認知症啓発や認知症高齢者への支援に没頭していました。
現在は関東ブロックの東京エリアでマネージャーとして従事しています。