本人の「どう暮らしたいか」から出発する、重度訪問介護~重度訪問介護に携わって感じたこと~
奥永孔太郎(ホームケア土屋 九州)
私は、高齢者分野で8年、障害分野で5年の介護経験を経て、土屋に入職しました。
初めて「重度訪問介護」というサービスと、その支援内容を知った時、これまで、施設での流れ作業のような介護のやり方に疑問を感じていた私にとって、まさに天職と呼べる仕事を見つけられたように感じました。
僅かながら資格や経験もあり、介護という仕事に対して、少なからず自信とプライドを持っていた私でしたが、実際に現場に入って衝撃を受けた事は今でも忘れられません。
まさに、当事者ひとりひとりが、自分らしく生活している姿がそこあり、支援内容は現場ごとに様々、、、。
同じ介助にしても、準備ややり方に細かいルールがある所も多く、これまで自分が築き上げてきた経験や技術がほとんど通用しないと言っていい状況に、日々苦戦したのを覚えています。
そんな中で、自分なりに考えて、導き出した「やり方」としては、安易ながら「今までの経験は一旦忘れて、一からやり直してみる」というものでした。
介護に関する、これまでの自分なりのやり方等は一旦捨てて、ご本人や先輩の話をよく聞いて、その現場ごとのやり方やルール等を、一つずつ覚えていくことで、少しずつ重度訪問介護に慣れていくことができたように思います。
そのころには、心から重度訪問介護という仕事が「楽しい」と感じることが出来るようになっていました。
その後、コーディネーター・マネージャーとして、色々なアテンダント(介護職員)の方々と携わりましたが、やはり私と同じように、これまでの経験が邪魔をして、なかなか現場での支援が上手くいかない方も多くいました。
その都度、間に入ったり、何度も話し合いを重ねて、良い方向に向かうように努力してきましたが、どうしてもうまくいかず「自分には合っていない」と去って行ってしまう方々も少なからずおられて、その度に重度訪問介護の難しさを感じさせられました。
ただ、そこに関しては興味深いことに、逆のパターンも良くみられます。
これまで介護経験も全くなく、無資格で入られた方が、支援の難易度が高いとされる現場にすんなりハマってしまうことも多々あるのです。
そういった場面に出くわした時、この重度訪問介護という仕事に大切なスキルとしては、経験や技術等よりも、人柄なんだなぁとつくづく感じます。
クライアント(ご利用者)の話をよく聞き、「その方の生活に寄り添うこと」が重要なのだと思います。
まだまだ答えは見つかりませんが、そこも含めて、重度訪問介護は面白いです!