「日常生活を当たり前に過ごす」~重度訪問介護をやって良かった事・気付いた事・未来の仲間に伝えたい事~
荒井大樹(ホームケア土屋 関東)
ホームケア土屋は、重度障害者の利用者を対象とした、「重度訪問介護」をメイン事業として展開しています。
「訪問介護」と聞くと、「1回1時間程度のサービス」をイメージされる方が多いと思いますが、「重度訪問介護」は、24時間の連続介護を8時間勤務のアテンダントが3交代制で行うこともある長時間のサービスです。
また、重度訪問介護の特徴として、「喀痰吸引」と「経管栄養」という、医療的ケアをアテンダントが行います。
これは、『重度訪問介護従業者養成研修 統合課程』という資格が必要になりますが、最短3日間の受講で取得できるため、すぐに介護の仕事を始めたい方には、最適な資格です。
当社では土屋ケアカレッジを各地に構え、統合課程研修を毎週開催しています。
そんな重度訪問介護ですが、上述した通り長時間の支援であるため、担当のクライアントの生活に密着したサービスになります。重度障害をお持ちの方々が在宅で生活するためには、家族による介護だけでは到底難しく、アテンダントの存在が必要不可欠です。
また、社会問題にもなっている「介護鬱」「介護離職」「ヤングケアラー」なども過度な家族介護負担が原因であり、私たちが支えているのは、クライアント本人だけでなく、
「そのご家族が介護にとらわれず日常生活を送れる環境を作り出していく役割」
も担っています。
クライアントもご家族も、「当たり前の日常を当たり前に過ごしていただくこと」が、私たちの仕事の誇りとやりがいであり、何か特別なことをしているわけではありません。アテンダント主体の介護ではなく、クライアント本人の自己選択・自己決定を尊重し、それを実現していくことの積み重ねです。
重度訪問介護は唯一「見守り」が認められている訪問介護サービスですが、見守りの時間が耐えられずに辞めていくスタッフもいます。
「常に動いてないと仕事をしている気にならない」というのが主な理由ですが、それはクライアント主体ではなく、「アテンダント自身の自己満足の実現しか考えていない」裏返しでもあります。テレビを見たり、音楽を聴いたり、昼寝をしたり、自分の時間を好きなように過ごしていただくことが大切で、リラックスした一人の時間を、邪魔せず「見守る」ことも、仕事の一環なのです。
私が重度訪問介護をやって気付いたことは、「日常生活を当たり前に過ごすことの大切さ」です。
重度障害をお持ちでも、自分の理想とする生活が送れる。重度障害者がいる家庭でも、家族が負担なく日常生活を送れる。これを実現するために、これからも仕事に取り組んでいきたいと思います。
プロフィール
荒井大樹 ホームケア土屋 関東
新潟県出身。
18歳で上京し、大学卒業後はアクセサリー販売、インテリア販売と小売業を20年経験。
42歳の時に未経験で介護業界へ転職。高齢者の訪問介護を経て、重度訪問介護へ移行する。
現在は、千葉県のエリアマネージャーと、習志野事業所のオフィスマネージャーを兼任しながら、「地域で一番信頼される事業所」を目指して日々奮闘中。
趣味は一口馬主で、現在20頭の競走馬に出資している。出資馬でGIを勝つことが夢。