広く浅くの関係性から狭く深くの関係性へ~重度訪問介護の資格を取って働いてみて思うこと~
前波優(介護事業部九州ブロック)
4年前に転職を考えていた時に興味を持ったのが重度訪問介護でした。
求人情報に書いてあった「医療介護スタッフ」という文言に、そんな仕事があるのだろうかと半信半疑で応募してみました。
その時に受講したのが重度訪問介護従業者養成研修統合課程でした。
当時は2日間の通学で資格が取得できるという事で気軽な気持ちで通学しました。
病院での介護を含めて15年程経験があったので、介護技術や医療的ケアは今まで見たり経験してきた事ばかりで自信を持って受講できました。
しかし、重度訪問介護が障害福祉サービスという事すら知らなかった私は、障害福祉サービスができるまでの歴史的背景や、障害当事者の講話を聞かせていただいて「今までの感覚でケアをしてはいけない」と痛感しました。
高齢者介護の経験が長かったので介護について理解しているつもりでしたが、障害福祉サービスが必要な方とは関わり方を変えないといけないと少し焦りました。
1番の違いは、高齢者介護の時は残存機能を活かして出来ることを促していき、出来ないことを介護する。
障害福祉サービスは自己選択、自己決定を尊重する事、主体はクライアントである事だと思いました。
重度訪問介護の資格を取って初めての支援に行った時の事を思い出すと、当たり前ですが病院や施設に出勤するわけではなく、クライアントのご自宅に通勤する事が新鮮でした。
そしてクライアント宅に入る時、初対面でご挨拶をした時には緊張感がありました。
その緊張感は会話を交わして一緒に過ごす時間が経つほど薄れていきましたが、最初の緊張感を忘れないようにしないといけないと思います。
人間は良い意味でも悪い意味でも慣れる事が出来るからです。
支援先では、重度訪問介護で出来る事には喜んで対応しました。
今までは何十人も独りで介護していて、時間に追われたり次から次へと呼ばれていましたが、重度訪問介護の現場はゆっくりと穏やかな時間が流れる感じがしました。
一人の方に寄り添える良い仕事だと思います。
広く浅くの関係性から狭く深くの関係性に変わりました。
重度訪問介護4年目になりマネージャーをさせていただいて感じる事は、重度訪問介護が支えているのはクライアントだけではなく、クライアントのご家族も含まれる場合が多いという事です。
勝手にそんな事まで考えてしまっていますが、変に重圧を感じることなく今できる精一杯の支援を届けられたらと思います。
プロフィール
前波優 介護事業部九州ブロック
22歳の時に看護助手として療養型病棟で介護を始める。
3年後に独学で介護福祉士を取得。
特別養護老人ホーム(従来型)、特別養護老人ホーム(ユニット型)、救護施設を経験後2018年に重度訪問介護に従事し始める。
趣味はスポーツ観戦(特にNBA、格闘技)