「一息入れる」、できてる?
雪下岳彦
年度末、そして年度初めのこの時期、慌ただしい毎日を過ごしている人も多いでしょう。
加えて、寒暖差や花粉症などもあり、春は体調もなかなか定まりません。
そんな状況下で、仕事のトラブルや想定外の出来事が起こると、頭がパニック状態に陥りやすくなります。
そして、そのパニック状態のまま対処し続けてしまい、さらなるパニックや不適切な判断をしてしまいます。
ここで大事なのは、「一息入れる」こと。
頭がパニック状態になった時点で、いったん一息入れて、少し頭を落ち着ける必要があります。
ただ、頭がパニック状態になってしまうと、「一息入れる」ということすら思いつくことができなくなってしまうのです。
逆をいえば、このような状況で一息入れられる人は、頭もパニック状態には陥っていないです。
では、頭がパニック状態の時にどうすれば一息入れられるか?
もし周りに状況を理解した仲間がいるならば、一息入れることを促してもらえるといいですね。
外に出て日差しを浴びたり、外の空気を吸うだけでも、少し冷静になります。
一方、一人でいるときに頭がパニック状態に陥った場合は、なかなか一息入れようとは思えません。
「一息入れる」の字のごとく深呼吸だけでもできれば、落ち着くきっかけになるのですが、「深呼吸しよう」とすら考えられない状態なのです。
もし、頭がパニック状態に陥りやすいタイプならば、職場のデスクや家の部屋の壁などに「一息入れる」と書いた紙を貼っておくという方法があります。
頭がパニック状態だったとしても、こういう文字が目に入れば一息入れるきっかけになります。
また、こういう準備をしておくことが、頭がパニック状態に陥るのを予防します。
こう考えると、頭がパニック状態に陥らないことが何より大事です。
睡眠不足や栄養不足、ストレス・疲労がたまった状態だと、心身の余裕がなくなり頭がパニック状態になりやすくなります。
できるだけ、こういう状態を作らないよう、日々の生活をマネージメントしていくことが最大の予防法ですね。
プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。
1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。
2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。
2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。
2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。