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『これからのオリジナリティーとは何か~ひとまずAI(人工知能)の話をしよう2~』 / わたしの

『これからのオリジナリティーとは何か~ひとまずAI(人工知能)の話をしよう2~』
わたしの

守本:ChatGPTに関して面白いのは、敬語で命令した方がクオリティーが高いそうです。それはなぜかというと、敬語を使われる人はきっと偉い人だというデータがAIの中にはあるからなんだそうで、質問者の上司のような大学の教授のような振る舞いをAIがするとのことです。最近進化したので今でもそうなのかは分かりませんが、開発当初はまことしやかに言われていたことだそうです。逆に敬語ではなく命令形で指示すると新人サラリーマンや部下のような振る舞いをするんだそうです。

土橋:立ち振る舞いというかポジショニングもデータから学習するんですね。本当にこのテクノロジーに関しては驚いていて、想像が追い付いていかないです。
はじめは入力して瞬時に回答が返ってきたときに、コールセンターのようなものがあってオペレーターが対応してくれているのかと思ったんです。

守本:裏にバイトのおじさんがいて必死に入力しているような(笑)。

土橋:そうそう(笑)。でも手厚い一人のサポートなんて無理だから、ちがうんだなと思い直しました。

守本:アイデアを100個出してくださいというと瞬時に出してくるから、これは人間にはできなくて機械だなとはっきりするんです。

土橋:AIの登場によって仕事の仕方は変わりましたか?

守本:そうですね。煩雑な部分は全てAIに丸投げしてますね。だからどっちがいいとかではないんですが、何をもってクリエイティブとするか、ある種自分の中でギアを切り替えた部分があります。クリエイティブの概念が更新されたんです。僕は普通にAIにアイデア頂戴って言いますから。そのアイデアをいじくったり、いじくらない場合もあります。

土橋:そうなんですね。

守本:イラストの生成をするAIもあるんですが、そっちの世界ではもう人間の画力とかがまったくいらないんですけど、そうなったときに何がその作者のオリジナリティーや著作権かというと、AIに対して書いた「命令文」だって言うんですよ。
認めたくない人はいるのも確かなんでしょうが、それは面白いなって思うんです。何を書くか、どう描くかということは「言語化」が可能ですよね。脳みそでやって手で出力していたものを、手の部分を切り替えるということです。

土橋:そこにオリジナリティーがあるのだ、ということですね。人のクリエイティビティが出せる、と。

守本:人によって賛否が分かれるところではありますが。僕の場合は、逆に言うと「言葉のすごさ」を再認識しましたね。結局、絵画も言葉なんだなと思いました。それをAIが理解し出したので可能性が広がっているんです。

土橋:なるほど。

守本:専門ではないのでイメージですが、今までのプログラミングだと、例えば自動ドアをここに設置するとした場合、赤外線センサーで光が対象物に当たっていつもより早くかえってきたらドアを開けるという動きをプログラミングしていくんだけど、その対象物を指定する場合に「人間が来たら開けて」では駄目で、体積が〇〇で速度が〇〇で…のようなどういうものが「人間」なのかいちいちデータで書き出していかないといけなかったんです。ところがAIだと「人間が来たら開けて」と言語で指示すると「人間」とは何かをAIが過去のデータから分析して判断していくんです。そして間違った場合はその都度学習していく。

土橋:そこが画期的なんですね?

守本:そうなんです。開発者にとっては画期的です。僕らのような人には会話できて便利くらいなんですけど。

土橋:今まではプログラミング言語で指示していたものが、日常的な言語で会話するように指示して機械を動かしていけるということがすごいわけですね。

守本:極端に言うとロボットに卵を握らせる場合にプログラムだと書くことが多すぎるんですね。ロボットは卵を知りませんから、体積、圧力、角度、位置などなど逐一記述しなければいけません。それをAIに対しては「卵を割らずに持ち上げる」と指示すれば「卵」とは何か、「握る」とは「割らずに」とはどういう状態のことかなどをデータから引っ張り出してきて学習して自動で動いていくんです。

土橋:「卵」とは何かということを学習して、このくらいの力で握ると割れてしまうものなんだということを分析し、はじき出して動いていくということですね。

守本:例えば犬を躾ける場合に「お座り」と言ってもその言葉を理解してできるわけではないじゃないですか。「お座り」って言いながら飼い主が犬のおしりを少し抑えるようにして座らせることで、徐々に犬が「お座り」という記号がきたら座るといいんだなということを理解していくんです。その変換が必要なんです。AIであれば「お座り」と伝えると全世界の過去のデータを漁って「お座り」とはこうすることだということを探してきて実行します。

土橋:「お座り」ってこういうことですよねって返してくるということですね。

守本:間違っていたら誰かが教え直せば修正されます。

土橋:チャットにとどまらず、AIがロボットのように立体になっていく、形になっていくんですね。きっと。

守本:最先端は想像を超えて進んでいるでしょうね。

土橋:OpenAIの人も規制が絶対に必要だと言ってましたね。危ないんだ、と。どう進化していくのか怖い部分もありますね。

守本:だけどそこは最後の意思決定をするのが人間だと思うので、その意思決定の主従権をちゃんと法律で守るっていうことですかね。例えAIが国を滅ぼしてもいいと出してきてもそれを止めるロジックと法律を作っておくというか、なぜそれに逆らえるのかというロジックと法律ですよね。開発を止めるのはもう難しいです。

土橋:ですよね。

―つづく―

プロフィール
わたしの

1979年、山梨県生まれ。

バンド「わたしの」

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