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【再掲】 熱中症予防に尿の色チェック / 雪下岳彦

【再掲】 熱中症予防に尿の色チェック
雪下岳彦

去年のこの時期、こちらのコラムに書いた記事を再掲します。

今年はすでに猛暑の1週間がありましたが、本格的な夏はこれからです。

熱中症対策に加えて、節電や感染対策と難しい状況ですが、予防は可能な場合が多いので、しっかりと対策し、無事に夏を乗り切りましょう!



梅雨が終わり、いよいよ夏本番になりましたね。

夏は楽しい季節ではありますが、私にとっては気をつけなければならない季節です。

気をつけなければならないこと、それは【暑さ】です。

私は脊髄損傷という障害の影響で、汗をかくことができません。

そのため、夏の暑さで体温が上がっても、汗でその体温を下げられないのです。

そうなると熱中症になってしまいます。

熱中症は生命の危険を伴う重大な状態であり、予防が重要です。

最近は、夏の暑さが一層強まり、汗をかける人も熱中症の危険を伴います。

たとえば、2020年に熱中症で救急搬送された人は、約6万5千人になります。

コロナ禍でマスク着用が必要なケースが増え、今年も熱中症になる人は同じくらいの数になるでしょう。

熱中症の予防で大事なポイントは2つあります。

1つめのポイントは、【暑さ】を避けること。

活動する時間帯は日中を避けたり、涼しい場所でこまめに休憩を取るのが重要です。

エアコンを使って、部屋の温度を下げるのも大事です。

マスク着用だとどうしても熱がこもってしまうため、周囲の人との距離を2メートル以上取った上で、マスクを外す時間も作りましょう。

もう一つのポイントは、水分補給です。

人間の身体の約60%は水分です。

体内の水分量が少なくなると、身体は脱水状態になってしまいます。

脱水になると、汗をかくことができなくなり、体温調節ができなくなってしまうので、熱中症の危険性が高まってしまうのです。

しかし、「身体の中の水分の量は足りているのかどうか?」を知る術を知らないと、水分摂取がおろそかになってしまいますよね。

また、マスクをつけていると、ついつい水分補給のタイミングを失いがちです。

そこで紹介したいのが、尿の色で身体の水分状態を知る方法です。

体内の水分量が少なくなってくると、腎臓で水分の再吸収が起こり、結果として尿が濃くなります。

ですから、尿の色が濃いときは、体内の水分量が少ない状態なのです。

(ビタミン剤などを飲んでいると、尿の色に影響が出ることがあります。)

そして、尿の色と脱水状態を一目でわかるようにしたのが、以下のチャートです。

グラフ, ウォーターフォール図

自動的に生成された説明

尿の色が1~3までなら問題なし
4,5なら脱水気味
6,7ならだいぶ脱水気味です。

尿の色が4より濃い場合、速やかに水分を取る必要があります。

そして、尿の色が3以下の色になるまで水分を取るようにしてください。

このチャート、トイレに貼っておくのも良いと思います!

最近は、スポーツのトレーニング施設などでも、こういった図を掲示するところが増えてきました。

目につく場所に貼ってあると、トイレに行った後は水分補給という習慣がついてきます。

私が作成したこの図、PDF版を以下にリンクしておきますので、必要あればダウンロードして印刷してください。


暑さを避け、しっかり水分補給をして、夏を乗り切りましょう!

プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)

1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

050-3733-3443