私たちを突き動かす誇りとはー社会性、経済性、人間性についてー
原田 岳(ホームケア土屋 島根)
社会性、経済性、そして人間性についてというテーマは大きすぎて何を書くべきか…というのが本音です。
コロナ禍においてよく、マスコミで社会・経済、施策に対する世論の動き(人間性)が取り上げられていますが、未だ正解は出ておらず迷走を続けています。
生活を揺るがす状況においても解決策が定まっていない。
このテーマはそれだけ立場によって見方・考え方が異なる難しいものだと思います。
一般的に社会性、経済性、人間性は、よく職業の三要素として仕事の社会的な役割の捉え方として取り上げられます。
ひとつの職業について考察していく見方ですが、これも大きな捉え方で一辺倒にこの職業はこうだからこうというものではありません。
介護についても例外でなく色々なサービスが存在します。
今私が関わるのは重度訪問介護と居宅介護、9月に新しいエリアに事業所を開設し新規にクライアントのニーズを探しているところです。
ここで一つの壁にぶち当たりました。
あるクライアントは居宅介護サービスを利用されており、居宅サービスと居宅サービスの間、尿意や痛みを我慢しているとの話がありました。
重度訪問の話をしたところ、
「重度訪問は居宅と比べて単価が低いと聞いた。だから重度訪問をする事業所もないし、重度訪問にしたら今のヘルパーさんはどうなるの?」
…正直、クライアントからこんなにダイレクトな言葉が発せられることに驚きました。
居宅介護サービスの文化が定着し、その中でヘルパーとの信頼関係が構築されているようです。
まさに社会性、経済性、人間性が絡んだ内容です。
万が一にも自治体が重度訪問と居宅介護の併用を認めてくれるならクライアントの生活の一部でもお力になれるかと自治体に確認しましたが、答えは…「NO」。
クライアントの気持ちを汲み取った最善の方法は、他事業所・他事業所アテンダントの重度訪問へのご理解とご協力を頂くしかありません。
今は土屋も居宅介護サービスでお世話になりますが、クライアントの「小さな声」は他事業所・他事業所アテンダントにもきっと届いていると思います。
これから地域全体で新しい文化を創造出来る、創造する!と信じています。
また岡山で管理者を務めた際、事業所内でもこのテーマは考えさせられるところがありました。
日勤と夜勤、支援の難易度、支援時間の長い短い、クライアントの状況で業務内容・勤務体系にアテンダント間で違いが出てくることは事実です。
経済性で言えば、日勤よりも夜勤手当のつく夜勤がいい。
支援内容は簡単な方がいい。
1日10時間支援で週休3日がいい。
同じ時間を過ごすなら誰しもそう思うのが普通だと思います。
でも実際はそうではなく、日勤も夜勤も、難しい支援内容も、短い時間も長い時間も支援は動いている。
これは支援に入ってくれているアテンダントの社会性と人間性に対する思考の強さだと感じています。
これがあって初めてクライアントの意向に寄り添うことができ、会社に貢献し、仲間を助け、かかわるもの全てを幸せへと導く原動力となっている。
これが社会性、経済性を高めているということを決して忘れてはいけないと思っています。
新しい事業所は私を含めてまだ3名です。
重度訪問の文化が少なくまだ夜勤もありません。
それでも重度訪問…というより、訪問介護すらしたことがなかったアテンダントのお二人(原さん・金森さん)も一緒に重度訪問文化創造の為に走り回ってくれています。
成果はまだまだですが、頼もしくもあり、誇りに感じます。
前のコラムにも書きましたが、誇らしさとは1人1人の中にある向上心、気持ちの強さ、思考の強さが繋がった時に得られる感情。
重度訪問文化が定着していない新しい地に立った今、社会性、経済性、人間性について同じベクトルを持ち、誇りをもってチームで前に進んでいこうと思います。