私達が支えたいのは「どの」要求なのか?~クライアントとの関係構築~ / 成田和之

私達が支えたいのは「どの」要求なのか?~クライアントとの関係構築~
成田和之

訪問介護の現場では、クライアントとの関係づくりにおいて、不安を抱えたり、頭を悩ます方が多いとよく耳にします。

当然ながら人対人ですので、相性や好き嫌いの要素も関わってくる問題でもあります。

また、重度訪問介護といってもクライアントと何の支障もなく日常会話ができる方もいらっしゃいますし、発語・意思表示に係る障害をお持ちの方もいらっしゃいます。

そもそも「関係性」とは、人と人、二つ以上の物事が互いにかかわり合い、影響をおよぼし合う性質のこと、単純な便益だけにとどまらない相互間の関係のことであり、友人や家族などに類似した関係性を構築することが訪問介護において「良し」とされています。

ただし、実際の現場においては良い関係性を構築することに固執するあまり、クライアントの要望に全て従ってしまうイエスマン思考に陥ることも、特に入職したての方には多いかもしれません。

クライアントの障害や病状によっては、食事制限や飲水制限が設けられている場合もあり、全ての要求を無審査に受け入れることは健康被害にもつながりかねません。

また何でもこちらで行ってしまう事でクライアントからできることを奪ってしまい、ADLが低下してしまうケースも見受けられます。

もちろんクライアントの身体状況に起因する問題ではありますが、友人や家族がそのような対応を行うのかは疑問符がつきます。介護業界に多く見られるイエスマン思考とクライアントの家族の思考との違いは一体何なのでしょうか。

それは本人のことを思いやる気持ちであると思います。クライアントの望むことに全て従うことによりクライアントは短期的には気持ちが満たされ、表面上良好な関係性であるように見えてしまいますが、はたして本当にそうなのでしょうか。

クライアントの表面上の満足を提供することのみがアテンダントに求められている事ではないと思います。よく耳にする”寄り添った支援”とはき違えているのではないのでしょうか。時には言いづらいことであっても本人の身体状況に影響を及ぼすのであれば、丁寧な説明を行ったうえで意向と反しても納得してもらうことが重要であり、クライアントの為であると個人的には思います。

私たちアテンダントは本当の優しさを持ってクライアントと接していくことを積み重ねることにより、より良い関係性を構築していけるのではないのでしょうか。

◆プロフィール
成田 和之 ホームケア土屋 札幌

所属 ホームケア土屋 札幌
2021年 介護業界未経験から入社。
2022年 実務者研修取得、コーディネーターとなる。

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