私たちが声なきヤングケアラーに出来ること
田中雄二
まずヤングケアラーとは何かを説明します。
ヤングケアラーとは、「障がいや病気、要介護などを抱えていてケアを要する家族がおり、介護を担わざるを得ない状況で家事や家族の世話などを行う18歳未満の子ども」を指します。
また20代、30代までの「子」を含めて「若者ケアラー」と呼ぶこともあります。
ヤングケアラーはケアが必要な家族がおり、介護できる大人がいない場合、子どもがその役割を担わざるを得ません。
子どもが家族をケアすること自体は問題ではありませんが、子どもとして守るべき権利が侵害されているケースもあり、支援が必要です。
ヤングケアラーの現状はヤングケアラーとなっている子どもは多いにも関わらず、行政の見立てや支援が進んでいないという課題もあります。
また、自身がヤングケアラーと自覚している子どもは少なく、「自分がヤングケアラーかどうかわからないまま」で、家族のケアを行っていることが、厚労省の調べにより判明しています。
まだまだヤングケアラーという言葉自体を知らないなど、認知度も低く、幼少期から介護の一部となっていたため、自覚のないまま負担を背負っている子どもも多いかと感じました。
また以前の職場で小さい頃から親などが病気で学校にもあまり行けずにケアをして育ってこられた方のお話を実際にお聞きしました。
ケアしている当時、「自分しかいない」と思い、当たり前にケアをしていたものの、地域との交流もなかったため支援などの制度もわからず、思えばずっと一人で孤立して生活していたという経験をお話しくださいました。「制度がわかっていればね…」と、ポツリとこぼしておられました。
また別のご家庭では、実際にクライアントのご長男から「高校をやめて父の介護に専念しないといけないと思っていましたが、土屋さんに日中、夜間と支援に入ってもらい大学進学を考えることもでき、無事に大学進学という、あきらめていたことができて本当に感謝します。」と、お言葉をいただきました。
この言葉を聞いて私たち重度訪問介護という仕事の重要性をあらためて知ることにとなり、なくてはいけない仕事だとおもいました。
ヤングケアラーは大人に代わって家族のケアを行っています。多くの子どもたちが支援を受けていない現状があります。重度訪問介護という仕事の重要性もあらためて知ることにとなり、「なくてはならない・なくしてはいけない仕事だ」と改めて感じた次第です。
◆プロフィール
田中雄二 ホームケア土屋 福岡
所属事務所:ホームケア土屋九州 オフィスマネージャー
資格:介護福祉士 保育士 社会福祉主事任用資格 介護福祉士実習指導者講習会修了証、
認知症サポーターキャラバンメイト養成研修
介護を始めた時期:2008年4月
趣味:野球、美味しいお店探し