感情が疲弊する…その循環を抜けるには?~介護と感情労働を考える~
和田博道
「感情労働」という言葉をご存じでしょうか?
私は、数年前にネットの記事を見て知った言葉なのですが…
「感情労働」とは…
肉体労働や頭脳労働に並ぶ労働の分野のことで、企業が顧客(消費者)に対して、心理的にポジティブな働きかけをすることで報酬を得ていく労働。
また提供者が自分の感情を抑圧して職務を行う労働を指します。その為、感情労働は精神と感情の協調が必要な労働となります。
とのことです。
クライアントやご家族と接することの多い介護は、まさにその代表例だと言えます。
時にはクライアントの主張、クレームに対して「耳」を傾け、声の調子や表情などに「目」で注意を払い、言葉の背後にある感情に「心」を配って話に共感、傾聴しなければなりません。介護の現場において、感情を協調するスキルを高く求められる場面が多く、これはとても重労働だと言えます。
病院や施設といった、特に人員不足が叫ばれる介護現場では、時間に追われ、心の容量が小さくなり、介助が「業務」と化してしまい…心を込めた質の高いサービスを提供することは難しい…というのが現場の本音だと思います。その状況が続くと介護職員は精神と感情のバランスを失います。これが昨今の介護現場における問題の多くに繋がるのではないでしょうか。
以前、私が施設に勤めていた頃の先輩の話です。
その方の座右の銘は『忙しい時ほど明るく』というもので、バタバタと時間に追われている時ほど周りの職員にポジティブな励ましをし、冗談を言って場を和ませてくれる方でした。
また、入居者様一人ひとりに対して1日1回は明るく声掛けを心掛けていて、「昨日より顔色がいいですね」「今日は風が暖かいから外を眺めてみよう」などとポジティブな心配りをされていました。
この方は感情労働のプロだと思います。
私自身、感情の疲労に負けることも多々あります。心の容量を大きく保ち、どうすればクライアントが楽しく安楽に過ごせるかを日々考えながら『忙しい時ほど明るく』を心の教科書に、感情労働のプロを目指して精進していきたいです。
◆プロフィール
和田博道 ホームケア土屋 久留米
ホームケア土屋久留米 コーディネーター
平成18年 短大卒業後保育園に就職。平成20年 ヘルパー二級取得。
平成24年 有料老人ホーム就職。
平成28年 介護福祉士取得。
令和元年 重度訪問介護の会社へ就職。その後株式会社土屋へ令和3年 コーディネーター昇格。資格:介護福祉士、保育士、幼稚園教諭現在、6歳と1歳の男の子二人のパパとして子育て奮闘中。息子二人と一緒にお風呂に入っているときが至福の時間です♪
令和元年 重度訪問介護の会社へ就職。その後株式会社土屋へ令和3年 コーディネーター昇格。資格:介護福祉士、保育士、幼稚園教諭現在、6歳と1歳の男の子二人のパパとして子育て奮闘中。息子二人と一緒にお風呂に入っているときが至福の時間です♪