「障害のあるだれか」ではなく、目の前の人を支えるという覚悟 / 大関美佐緒

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「障害のあるだれか」ではなく、目の前の人を支えるという覚悟
大関美佐緒

昨年12月にホームケア土屋に入社させていただきまして、半年経ちました。

それまで、在宅・施設と高齢者の介護に関わらせていただいておりました。

重度訪問介護という障害を持つ方の介護の分野は初めてです。

まず、率直な感想として、高齢者介護から介護を始めた私にとっては大きな違いがあり、「なかなか難しい」という印象です。

医療的ケア以外の部分では、行う介護内容は大体同じです。しかし、クライアントや家族とのコミュニケーションの取り方、クライアント宅内での振る舞い、急変や事故などのリスクの高さ、本人や家族からの、アテンダントに求める質の高さなどが大きく違います。

それにより、訪問介護と同じケアをするにしても、「より丁寧に」、「より細やかに」、「より正確に」と、求められていると感じています。

なぜ、そのような違いがあるのかというと、訪問介護では高齢者が対象であり、介護が必要になってしまった高齢者というのは、家庭内で両親、義理の両親、祖父母だったりで、折り合い良く上手くいっているケースが少なかったりします。私の印象ですが…。

また同居ではなかったり、介護が必要な状態になった為、同居せざるを得なくなった場合など、はっきり申し上げてしまうと、「仕方なく介護をしている」状況が多くて、そうするとアテンダントに求められるものも自然とハードルが低くなる印象です。

ご両親・義理のご両親をとても大切にされていて、アテンダントに介護の質の高さを求めるご家庭も勿論あります。

一方、重度訪問介護の場合は、家庭内で介護が必要になってしまった対象者が、家族から見て夫や妻、我が子であったりと、まさに現在進行形で生活を共に営んでいるかけがえのない大切な人が、障害を持ち介護が必要な状態になってしまっています。

独居の場合は、生きていくために自分でその環境を整えなければならない状態だったりします。

そうすると、必然的に要望は細かく質の高いものになり、そしてクライアントの状態によっては、いつ急変してしまうかもわからない。吸引が必要であれば常に見守りをする必要がある。命の危険や、考えたくもないであろう命の期限が予想される状況であったりします。でも、その方々はこの先もずっと、一緒に暮らしていきたい大切な人なのです。

そうやって、日常を真剣に暮らしています。その中に入っていくわけですから、生温い中途半端な気持ちのアテンダントは、すぐに見抜かれてしまいます。

こういった所が大きく違うと感じましたし、この仕事で関わるからには私自身も関わる方の人生を大切に尊重しなければ失礼にあたることになる。と強く感じました。

障害があり、常時介護が必要な状態であろうとも在宅生活を営む。

という、自分の知らなかった世界に触れて、私自身自分の人生において波瀾万丈だった事もあり、日常の尊さを少しは理解しているつもりでしたが、改めて日常を生きていく事の尊さを感じました。

そしてそれは、本当に大変なんだけれども、その大変さを悔いのない悦びに繋げられたら良いな。と感じています。

プロフィール
大関美佐緒 ホームケア土屋 かながわ

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