私とクライアント~「本当の気持ち」にたどり着くまで~
小山田康浩
私は福祉の専門学校を卒業後、特別養護老人ホームで勤務していました。
学生時代での勉強の中で『訪問介護はかなりハードルが高いよ!』という話を耳にする機会が多かったです。今では、ハードルが「高い」のかは、かなり疑問ですが…
施設ではたくさんの高齢者・障害をお持ちの方のケアをさせていただきました。日々同じ業務の繰り返し・・・
この「毎日毎日同じ業務」も嫌になり、「重度訪問介護」という、訪問介護の事業に飛び込みました。
学生の時に「ハードルが高い」と聞いていたうえ、重度がついている、想像だけでヤバいのかなと思っていました。しかし、初現場に行ってみると、何と良い仕事なのか(心の中で「なんて天職なんだ!」と叫びました)と思いました。
新規現場を立ち上げる際、あるALSのクライアントと出会いました。その方は症状がまだ進行途中の方でした。
まずはお話を伺いに、ご自宅へ訪問させてもらいました。
奥様は仕事をしているご状況で、お子さん2人はまだ学生であること、また夜間には、奥様が30分~1時間おきに「体位変換」をされているとのことでした。
ご本人からは、『家族に迷惑かけたくない』とのことでした。
お住まいの地域には、重度訪問介護を提供できる事業所は他にはなく、土屋のみでした。
ご本人とお話をしていくうちに、胸の内を話してくださるようになりました。
初めは、『このまま家族に迷惑をかけるのならば、気管切開せずに早く死にたい』と思っていたとのことでした。しかし、『家族を支えてくれる事業所があるなら延命したい気持ちが湧いて来た』と涙ながらにお伝えくださいました。支援を開始すると、『ありがとう・・・』と涙ながらに毎回伝えてくださいます。
支援をしていくうちに、症状が進行していき、気管切開の手術を受けるために入院することになりました。
その際も「コミュニケーション支援」として、病院内で支援させていただきました。出会ったころに話してくださった「プロ野球を見に行きたい」という気持ちは変わらない・・・
「退院してからはリハビリを頑張っていく」と仰います。
これからも少しずつリハビリにて車いす座位時間を延ばしていくこと、先々は旅行に行くことを最大の目標に「頑張っていく」と…
これから先もご本人、ご家族をサポートできるよう努めていきたいと思います。
私たちの仕事は、ご本人のみを支えるだけでなく、ご家族を支えることにもつながる仕事。決して簡単ではありませんが、これからも多くの方と関わり支えていけるよう、努めていきたいと思います。
プロフィール
小山田 康浩(おやまだ やすひろ)
介護を始めた時期:平成21年~現在
特技:バスケ歴26年
資格:介護福祉士