重度訪問介護と「ありがとう」
井上 英恵( ホームケア土屋 九州)
私は准看護師として15年はたらき、2020年より重度訪問介護の世界に足を踏み入れました。
病院での勤務でも「ありがとう」という言葉は聞くことができます。でも、私がいつも思っていたことは、
「ありがとうと言われることしてない。何もしてあげれてない。」
ということでした。
病院勤務では、ケアをしていても、時間に追われ、流れ作業だったように思います。
1人1人に手をかけ話をゆっくり聞いてもあげられず淡々と作業を行い、「こんなんでいいんかな?もう少し手を洗ってあげたかったなー。髭剃りや爪切りまでしてあげたかったなー。」と思いながら業務についていました。
そんな時、プライベートで転機が起き、転職しようと思いインターネットを検索していて、重度訪問介護に出会いました。
興味があり、門を叩きました。入ってみると、私がずっと思い描いていたケアと出会いました。
1人1人に手をかけケアを行い、ケアにゆっくり時間が持てるというところに魅力を感じ、就職しました。
支援を利用することで、自宅での生活を諦めていたクライアントの生活の援助を行い、できないことを代わりにする事で、人間らしい生活。
諦めていた楽しみを見出すこともできるように援助して、できなかったことができるようになり、笑顔で「ありがとう」と言われる時、私は病院でも感じられなかった達成感が湧き出て、重度訪問介護に転職してよかったと思うことができました。
重度訪問介護を行うにあたって、私が学んだことがあります。
普段日常生活で当たり前に出来ていること、なに不自由なく生活をしていることの有り難さです。
重度訪問介護を利用されるクライアントは、あたり前に出来ていたことが急に出来なくなったジレンマを乗り越え、自分の弱いところを知らない人にさらけ出し、手を差し伸べてほしいと思って利用されている方、生まれつき障害を持っていらっしゃる方のご家族も同様で、何かしらの弱さを持って、重度訪問介護を利用しようとされているため、寄り添い、何をしたらよりよい生活が送れるか。など考えて支援を行うようにしました。
ほんの小さな事かもしれません。
頭が痒くても掻けない。新聞や本を読みたいけどページがめくれない。
普段私たちが出来ていることが出来なくて諦めてしまっていたことを、代わりに掻いて差し上げたり、ページをめくってあげたりすることで、自宅で生活できるようになり、楽しみなどが増え、人間らしい生活ができるようになられる。
そのほんの小さなことを、重度訪問介護は見つけ出し寄り添うことが大事なのだ。と思いました。
私は、看護師をしていてできなかったことを今、重度訪問介護で行うことができ、仕事も楽しく、クライアントの「ありがとう」を聞けるように努力して行きたいと思っています。
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プロフィール
井上 英恵 ホームケア土屋 九州
有資格 准看護師
佐賀県有田町生まれ
子供の頃は同級生たちと川で遊んだり、兄たちと虫(カブトムシ)などを捕まえたり、母と一緒に料理をしたりと色んなことに興味のある子でした。
看護師を15年ほど行い、重度訪問介護に転職しました。