文字盤を通って触れた、「人生」の手触り~介護と私~ / 長瀬賢亮

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文字盤を通って触れた、「人生」の手触り~介護と私~
長瀬賢亮(ホームケア土屋 高知)

他業種から介護業界に転職してきて約2年半が経ちました。

外の世界で働いていた私は、介護業界に対して世間一般で言われているようなイメージを持っていました。

外からではマイナスなイメージが強く、介護業界のプラス要素はあまりわからないような状況でこの仕事を始めましたが、実際に入ってみると、マイナス要素は想像のようには強くはなく、逆にプラス要素は多くあることに気付きました。

まだまだ経験を積んでいる段階ですが、私が感じた介護業界のプラス要素の部分を少し書いていこうと思います。

私が初めて関わらせていただいたクライアントは人工呼吸器を装置されており、喀痰吸引や経管栄養など医療的ケアがある方でした。

その方とのコミュニケーション方法は透明文字盤を使用しており、透明文字盤すら初めて見た私は当初すごく驚いたのを覚えていますし、なかなかにコツが必要で上手くいかない時もありましたが、根気強く付き合ってくださり、温かい言葉や冗談等も言ってくれる方で、徐々にコミュニケーションをスムーズにとることが出来るようになりました。

ですが、そういう言葉だけではなく、ご自身の思いもしっかりと伝えてくれる方でしたので、会話をしていく中で、この方はすごく人間的で、当たり前の事ですが、私たちと何も変わらないんだなと感じる事が出来ました。

介護技術や知識はまだまだですが、何より大切なのが人と人との関わりだと思えたのは、このクライアントとの出会いがあったからでした。

この経験が、重度訪問介護や訪問介護を知らない私がこの業界にスムーズに入れた出来事のひとつだと思っています。

そうして様々な経験を積み始めた頃に、あるケアマネージャーさんから退院支援の相談の連絡がありました。

その方のご自宅は高知市の中心部から車で片道1時間20分ほどかかる場所で、毎日夕方から翌朝まで支援に入ってもらいたいとの依頼でした。

当時在籍していたアテンダントはほぼ高知市内だったので「遠いな….」と思いつつも、会社のミッションに「探し求める小さな声を」とあるように、困っている方からの依頼があり、その時アテンダントが対応できる状態であるということで依頼を受けることにしました。

その後、現在まで約1年半のお付き合いは続いていますが、いまもアテンダントみんなが高知市内から行っているわけではなく、より近いアテンダントが入社すれば、どんどん支援に入ってもらうようにして高知市内から行くアテンダントを減らしています。

今でも当時の話になり、その後の話を聞くと、当時土屋が受けなかったら他の事業所は見つかっていなかったとの事です。

クライアントからも「土屋がいなかったら家に帰れなかった」という言葉をいただきます。

私たちが自分の暮らしたい場所で暮らしていることが当たり前ではない事に気付かされますし、その当たり前の暮らしを実現する為のお手伝いが出来たことはとてもうれしく思いますし、この仕事のやりがいを感じる出来事でした。

土屋は介護職員の社会的地位向上と待遇改善にも継続的に取り組んでいて、やりがい搾取はされず安心して働ける環境だと思っていますので、今後も「小さな声」を探していこうと思います。

最後に、医療的ケアがあり、緊張感があるクライアント宅の夜勤明けの朝、玄関を出た時の太陽や空気、仕事に行く人々を見ながら食べる朝マックは最高です。

プロフィール
長瀬賢亮 ホームケア土屋 高知

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