旅企画「MATAたび」第1弾実施③憧れのスカイラインGT-R
櫻井純
2021年12月12日(日)、ホームケア土屋鳥取にご協力頂き、土屋・SDGsチームの旅企画「MATAたび」第1弾を実施しました。
前回までは旅企画の実施までの流れを書いてきましたが、今回はいよいよ憧れていたスポーツカースカイラインGT-Rの見学させていただいたお話しです。
晴れていたらという条件付きで外に出して見せて頂ける約束をしていましたが、旅企画実施の当日肝心な天気は曇り空。
今回ご協力頂いたホームケア土屋鳥取の池田憲治さんと合流した時点では、ポツポツと雨が降り出しそうな天気に変わっていました。
クライアントのご自宅を訪問してご挨拶を済ませて早速、クライアントとお母様、土屋の池田さん、アテンダントの吉田さんとともに、憧れのスカイラインGT-Rを取り扱っている有限会社林オート様へ向かいました。
お店に着くと・・・入口には憧れていた車が!!すでにガレージから出して頂いていて、みんな大興奮で写真撮影しました。
普段見ることができない3,000万円のスカイラインGT-Rに大興奮。
今回は土屋の池田さん・吉田さんの2名で全介助のクライアントを車椅子から移乗して運転席に乗車させて頂きました。
車椅子から椅子やベッドへの移乗と違って、スポーツカーは車高が低く、小さなドアの開口部に移乗する難しさがありましたが、無事に運転席へ。
ずっと憧れていたスカイラインGT-Rに乗ってみた瞬間、マスク越しににっこり嬉しいクライアントのお顔が見えてホッコリ。
運転席にはクライアント・助手席にはお母様。親子で憧れていたスポーツカーの中で並んでいる姿は最高の時間でした。
林オートの社長様は「振動は感じれますか?」と聞いて下さり、運転しなくてもスポーツカーの良さをより体感できるよう、運転席で操作を補助しながらエンジンを吹かせてくださいました。
数秒で時速100kmに達するスポーツカーのエンジン音、運転席シートに座った体に伝わる振動。
翌日には、旅企画で憧れのスカイラインGT-Rに乗車するクライアントの写真をみなさんに観ていただき、車ファンの間でも実際にみることが出来ない車に試乗したことにみな驚いていたと、お母様のコメントを頂きました。
ずっと憧れていたスポーツカーの運転席から見た景色、実際に見て触れて感じた体験は一生の想い出。
アテンダント・クライアント・ご家族が体験されている間に、林社長様に取材協力のお礼とインタビューさせて頂きました。
クライアントも、特にお母様はすごく喜ばれてお写真を撮られている姿が印象的だったんですけれど、楽しんで頂く姿を見てどんな印象を受けましたか?という質問には・・・
「クライアントがスカイラインGT-Rに乗るのがずっと夢だったとお聞きしていましたので、私も早くから来てガレージから出して準備させて頂いておりました。
本当に喜んで頂いて私も気持ちがよくなりました。何かお力になれることがあればいいな」というコメントに感謝。
旅企画「MATAたび」にご協力いただいて、受け入れる前と後で病気や障害に対して何か変わったことはありますか?と林社長に質問・・・
「実際やはり障害者の方お一人ではなかなか『できること』『できないこと』っていうのがあると思います。やはり本人さんだけでできないことを、こうしてアテンダントの方が協力されているということで、私も何かできることがあればやってみたいなという気持ちになりました。今日は車を用意するお手伝いをさせていただきました。」との感想。
アテンダントの介護スキルで夢を叶えるお手伝いができる。
クライアント親子が喜ぶ姿を見て頂き、嬉しい感想を頂きました。
旅を通じて夢をお手伝いして頂きながら病気や障害と向き合われている方の日常を実際に見て頂くことで、土屋の取組みや命や尊厳を守る活動の姿を間近で見ることで知って頂けたことの意味は大きいです。
難病に対しても理解が浸透し、当事者が地域で生活することの困難や課題を見て触れて考えて頂く旅企画。
いつか地域のコミュニティみんなで支援が必要な方に優しい配慮がひろがっていくきっかけになると嬉しいです。
今回、お休みのところお店を開けて準備していただき、普段展示していない貴重な車を見せて下さった林オートの林社長様、旅企画「MATAたび」にご協力いただきありがとうございました。
プロフィール
櫻井 純(さくらい じゅん)
1987年 兵庫県加西市生まれ
12歳で急性散在性脳脊椎炎を発症。26歳で10万人に1人程度の割合で発病する慢性炎症性脱髄性多発神経炎を発症。29歳でシャルコー・マリー・トゥース病の診断を受ける。
常に治療リハビリが必要で一般就労が難しい状態から社会参加への強い想いを持ち、2016年難病障害当事者が運営する旅行会社櫻スタートラベルを起業。当事者目線で障害や疾患に配慮する旅行や働き方の取り組みが、産経新聞 ・The Japan Times・朝日新聞で紹介される。ジャパン・ツーリズムアワードビジネス部門(ユニバーサルツーリズム)連続入賞。
重複障害による筋力低下・感覚低下・激しい痛みがあり、現在も年間約120日程度入院やリハビリを継続。難病や障害の相互理解を促す活動として講演活動・失語症者向け意思疎通支援を行う。目に見えない障害や複数の難病と向き合う当事者の立場から、誰もが希望を持てる優しい社会づくりを目指す。