社会性、経済性、そして人間性について
柿沼 久美子(ホームケア土屋 三重)
今回のコラムのテーマ「社会性、経済性、そして人間性」を頂いたとき、前職で上司だったエリアマネージャーを思い出しました。
私は約25年、パチンコ業界に勤めていました。
その中で一番長く勤めた会社で、入社以来、色々とお世話になりました。
アシスタントマネージャーとして中途入社した私に
「マネジメントの基本は、ヒト、モノ、カネ、情報。でもヒトを扱うのもモノを作り出すのも、カネを生み出すのも、情報を集めるのも全てヒト。だから人間性を磨きなさい」
と言われ、その時は軽く聞き流していました。
それから7年が経ち、念願のストアマネージャーに昇進しました。
グループ17店舗ある会社で初の女性店長となり本店への人事異動、周囲からの期待も大きくプレッシャーから自分を見失っていました。
移動してすぐに周年祭の準備、あまり面識のない部下に指示を出し、何とか当日を迎えました。
しかし、入客も売上も粗利も予定していたものには程遠い、散々な結果に終わりました。
翌日、エリアマネージャーに上手くいかなかった原因は?と聞かれ、「前店長の組んだ計画数値が高すぎた」「スタッフが思うように動いてくれなかった」等、言い訳ばかり並べました。
すると「どこに矢印を向けてるの?外に矢印を向けていたら次も失敗するよ。
そんな上司の元で働く部下が可哀そうだよ」と。
確かに、私自身の想像力と想定力が足りなかったことが一番の原因でした。
前店長が組んだ計画数値を実現させる為に自分が思い描く画を描けなかったこと。
自分事で一杯一杯で部下とコミュニケーションを取らず、一方的に指示を出してしまったこと・・・
失敗の原因は私自身にあると猛省する手痛いデビューとなりました。
その後、社長に数値報告に行き、ド叱られましたが、一緒に頭を下げてくれたエリアマネージャーに二度と頭を下げることはさせないと誓いました。
それは、目標数値に届かなかったことを責めるのではなく、私の心の在り方に疑問を投げてくれたエリアマネージャーの人間性に、この人についていこうと思った瞬間でした。
「利他の心」がなければ社会性も経済性も、人間性も無くなります。
最近、イライラすることが多くなってきました。
それは多分、私の矢印が外に向いているからだと思います。
利己主義になってしまうのが人間ですが、それを抑えることができるのも人間なんだと思います。
利他の心をもって仕事もプライベートも楽しい毎日を送りたいものです。