寄り添う気持ちの大切さ~『父の最後に想うこと』~ /溝渕あゆみ

寄り添う気持ちの大切さ~『父の最後に想うこと』~
溝渕あゆみ

父が亡くなって5年。
私が未だに心に引っかかっている事がひとつあります。

父がパーキンソン病を患って10年目、風邪を引いたことから体調を崩して入院してしまい、その時はすぐに退院できると思っていたのですが、みるみる痩せ細って体力もなくなり、点滴に頼るだけになってしまいました。

母もショックからか元気がなくなり、独りにするのが心配なので、私も実家から仕事に通う生活になっていました。

入院から2ヶ月が経った頃、朝の4時に電話が鳴り、母が出ると病院からで、父が急変したと。

前日も母が顔を見に行っていて「変わりはなかった」と言っていたのに…信じられない気持ちでとりあえず急いで病院へ行くと、もう父は息をしていませんでした。

その目の前の現実が信じられず、母も私も立ち尽くしてしまいました。

私が心に引っかかっているのは、その時対応してくださった看護師の方が、病室への案内の時からなぜか笑顔だったんです。
様子を説明する時も、慰めの言葉をかけてくる時も、ずっと笑顔でした。

元気づけようと思ったのかもしれませんが、私にはその違和感がどうしても頭から離れなく、未だに思い出してしまうんです。
正直、今では目の前の父の姿よりもそちらの印象が強すぎて。

良くも悪くも人の印象の中で、言葉や態度は相手の心に残るものだと思うんです。

喜怒哀楽を一緒にとまでは言いませんが、ただ少しでも寄り添う気持ちがあれば、相手の気持ちを汲み取ろうという想いがあれば、自ずと信頼関係も築けるのではないかと思います。

介護のお仕事に携わっている中で、私はその気持ちを大切にしようと思っています。

◆プロフィール
溝渕あゆみ ホームケア土屋 札幌

1番初めに介護職に就いてから10年のブランクを経て父の病気をきっかけに再び介護職に戻り、施設勤務を経て約4年前土屋に転職し現在に至る。

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