言葉以外のコミュニケーションに支えられる日々~未経験からの介護職のその後~
成田和之
早いもので、未経験から介護職に転職してかれこれ3年の月日が経ちました。
介護職に携わる前の介護職のイメージは、おそらく介護に関わりのない皆さんが抱くものであったり、メディアで取り上げられているものと大きな違いはありませんでした。なにはともあれ実際に働いてみて、やりがいや、私が感じた事を主観的ではありますがお伝えさせていただき、今後の参考になればと思います。
「介護職」と言っても、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などの施設に従事するものや、重度訪問介護をはじめとした居宅介護等、多岐にわたります。
私が従事しているのは、訪問介護サービスという形態で、障害を持った方の在宅生活を介護する「重度訪問介護」というサービスとなります。
厚労省資料による定義としては、「重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行います。(日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援を含む。)」とされています。
重度訪問介護職員となり、実際に支援を行っていく中で、「自分で思っている以上に人と関わる事が好きである」と気づかされました。
クライアントによっては、身体的に発話が困難であったり、ストレートに表現なさらない方など、言葉でのやり取りが苦手な方もいらっしゃいます。言葉以外の表情や笑顔、あるいは何気ない会話や、時には苦手なはずの言葉で感謝を伝えてくださって、私の気持ちを刺激します。もちろんクライアントには体調の良い日も悪い日もあるのですが、良い日も悪い日も関わっていく中で関係性が構築され、支援を通じて元気をいただいている気がします。
この3年間の経験で嬉しかった事は、あるクライアントが今までできなかった日常生活動作(ADL)ができるようになったことでした。重度訪問介護のクライアントは ALS などの進行性の疾患の方も多く、回復よりも現状機能の維持に重きを置くことが多々ある中での出来事でした。
そんな変化を喜びであり、やりがいであると捉えることができるのであれば、この仕事に適しているのではないでしょうか。自分が適しているのかどうかは正直分かりませんが、日々刺激をもらいながら働いております。重度訪問介護は、基本的に1対1での介護となりますので、人との関わりが煩わしいと感じる方には、この仕事は長続きしない傾向があるのかと思います。
未経験から始め、まだ3年間の介護経験しかない中での拙い話ですが、何かお役に立てれば幸いです。
◆プロフィール
成田和之 ホームケア土屋 札幌
2021年 介護業界未経験から入社。
2022年 実務者研修取得、コーディネーターとなる。
2024年 現在に至る