あなたの抱える「ストレス」を、お互いに支えて育っていこう
川﨑知子(マーケティング部・訪問介護事業部)
私は以前、特別養護老人ホームに勤務していました。
そこでは熟練した先輩の介護技術を学ぶ事ができ、「介護の最前線で働いている」という感覚を持てました。
介護士は、オムツ交換・食事介助・更衣・移乗といった、基本的な技術を習得できないままだと、働いていても不安なものです。
その部分を育てて頂ける現場としては最高です。
また入居者は「終の棲家」として入居される為、そこは生活の場。
日々の介護の末に、看取りまで経験させて頂ける点も、介護士としては有難い勉強の場です。
最近では介護ロボットの導入等で、介護士の身体的負担を減らす取り組みも進んでおり、他では見られない設備にも触れることもできます。
そして、そこでは1日のスケジュールが決まっており、スピードが重視され、スタッフには「時間ごとに完了されていなくてはならないタスク」があり、タスクが完了できないとスタッフ間の空気が悪くなるようなマイナス面もありました。
ですが深刻で慢性的な人員不足の為に、「その様な働き方をせざるを得ない状況」であったと思います。
生き生きと働いている人よりも、「毎日をなんとか乗り越えている人の方が多かった」と独自に振り返ります。
そんな経験の後に、障害分野で重度訪問介護に従事させて頂く事となりました。
以前に訪問介護の経験はありましたし、事前に研修もあったため、自身が抱いていた想像と、大きなギャップはなかったのですが「これは別物だ」という感覚をおぼえました。
介護士主体、施設主体でやってきた介護を、一旦忘れないとできません。
重度訪問介護には、
医療的ケアを必要とされる方がいらっしゃいます。
1人の方を長時間支援します。
勤務時間はクライアントにより違います。
1日の流れは状況で変わります。
どんな生活を送りたいのか、意思がはっきりしています。やってほしい事、やってほしくない事を時に細かく伝えて下さいます。
その場によって気分は変わりますし、発言も変わり、その時に沿ったケアが必要です。
認知症ではありません。
と、挙げれば多々ありますが、こんなところが施設経験とは大きく違い、皆がギャップとして感じ得る点でしょうか。
「重度」とついていますので、甘い仕事ではありませんが、過剰に構える必要もありません。
コミュニケーション方法は、クライアントによって様々であるものの、考え方や気持ちは私たちと変わらない「普通の」方です。
そして1対1で向き合って過ごせる喜びは、特に施設経験者には、大きなものがあると思います。
介護はエッセンシャルワーカーであり、感情労働です。
私たちは普通に暮らしていてもストレスにさらされますが、コミュニケーションが密になる重度訪問介護では、人間関係についてストレスを抱えるケースは珍しくありません。
ストレスというものは、全くないのも、体にとっては良くはないそうです。
大事なことは、ストレスと上手に付き合い、向き合っていく事です。
訪問介護の直行直帰でも、感情や、モヤモヤしたことを、共有できる仲間は、実は周りにいっぱいいます。
これから重度訪問介護を始める方へ伝えたい事は、
「自分からのSOSを放置せず、誰かに話をしてほしい」
という事です。
思わぬ言葉で救われたり、自分がどうしたら良いのかを見つけるきっかけになります。
また、私生活の悩みがストレスになり、仕事へ影響してしまう場合もあるでしょう。
相手は職場の人間、家族、友達など問いませんので、話してみてほしいと思います。
中には「この程度は皆同じだろう」「言っても解決しない」などと思い、感情を閉じ込めてしまったり、忙しさに任せて、放置してしまったりされる方も多いと思います。
ですが、放っておくことで、健康障害や人間関係のトラブルに繋がってしまっては、仕事の継続ができなくなってしまいます。
重度訪問介護は、ゆっくりと日々のお付き合いを重ねて、クライアントと「信頼関係を築いていく介護」です。
モヤモヤした気持ちに支配される事なく、相談や、気分転換などセルフケアを大切に考えて頂きたいと思います。
ストレスの反応は人それぞれで違いますので、他人と比べることなく自身の「ストレスとの向き合い方」を見つけて下さい。
プロフィール
川﨑知子 マーケティング部・訪問介護事業部
出身地 山口県
40代、愛犬家
病気で主人を亡くしてからシングルマザーに。
休みの日は娘とのランチが楽しみ。
介護福祉士
約10年前に高齢者介護に就く。訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホームを経験し重度訪問介護へ。
ホームケア土屋北九州でオフィスマネージャーをさせて頂き、現在は本社マーケティング部に在籍。
重度訪問介護で障害者の可能性を広げたい、一緒に働く仲間を増やしたいという思いで活動中。