すべては価値のある生活の為に
関口隆宏(ホームケア土屋 札幌)
私が重度訪問介護の仕事を始めたのは約3年前になります。
正直なところ、重度訪問介護の事は何も知らずに飛び込みました。
従事するには統合課程という講座を修了して資格を取得する事が必要との事を初めてお聞きしました。
「まずは受講してみないと何もわからない!」と思い、受講する事にしました。
いざ受講してみると、たくさんの驚きや気づき、そして特に障害当事者の方のお話やこの制度が成り立つまでの歴史に感銘を受けました。
「これは素晴らしい価値のある仕事だ!」と純粋に感動したのと同時に、週1回の非常勤勤務が希望だった私は「軽い気持ちで飛び込んではいけない世界だな!」と感じた事を良く覚えています。
初めてのクライアントの支援は医療的ケアもあり、経管栄養、喀痰吸引など全てが初めての体験であり、ただただ緊張していました。
今思い返してみると、知らないクライアントの個人宅へ行き、一晩見守りをしながら朝まで過ごすこと自体、とても不思議な感覚だった事を覚えています。
初めてのクライアントに接するときは今でも変わらず緊張します。
「どんな方なのだろう!」「私を受け入れてくれるのだろうか?」など・・・
クライアントがケアの依頼をするのは単に日常生活をサポートしてもらう為だけではな く、ご自身が思うより良い生活を実現する為でもあると思います。
その為にはアテンダントとクライアント双方の立場を尊重しながら意見をぶつけ合うことが必要な場合もあります。
すべては「より良い生活を実現するため」という共通の認識があれば、多少の意見の食い違いがあっても必ず良い結果になると信じます。
意見のぶつかり合いを恐れずに、じっくりとコミュニケーションして調整をしていく。そうすればお互いが納得のいくより良いプランが出来ていくと考えます。
常にその意識をもっていれば大きな間違いは起きないのではないかと感じています。
様々なクライアント、ご家族とお話をする中で現在の生活にたどり着くまでには紆余曲 折のたいへんな苦悩があり、様々な思いを乗り越えて決断してたどり着いた在宅生活である事をお聞きする事もあります。
本当に価値のある決断だと思います。
そういうお話を聞くたびに、命と真剣に向き合い生活をしている凄みと生命の大きなエネ ルギーみたいな物を感じます。
そのエネルギーに応えて、私たちもクライアントの気持ち に真摯に向き合い、お互い納得して共同作業として一つずつ決定していく事、また新しい問題があれば納得がいくまで話し合い、常にアップデートしていく事の繰り返しが、お互いに価値のある生き方につながっていくように思います。