『クライアントインタビュー』南保哲也さん(ホームケア土屋富山)

目次

ヤァヤァヤァ、施設に「入れなかった」私が謳歌する、楽しい日々

“クライアント”と一概に言っても、それぞれの生き方、それぞれの生きるリズム、生きてきた道があります。

今回、お話を伺ったのは南保哲也(なんぼてつや)さんです。
富山で生まれ育った南保さんは今、重度訪問介護を利用して1人暮らしを満喫しています。

何気ない日常や好きなこと、カフェや居酒屋で出会う人、そして少し先の自分を夢見る時間――南保さんはどんなものに囲まれ、どんな日々を送っているのでしょうか。

その日常を訪ねました。

zoomインタビュー参加者

南保哲也さん……(なんぼてつや/ホームケア土屋富山・クライアント)
高野真由美さん……(たかのまゆみ/ホームケア土屋富山・管理者)
谷井祐紀さん……(たにいゆうき/ホームケア土屋富山・コーディネーター)

*文中の南保さんの「――――」の箇所は南保さんがお話してくれましたが、インタビュアーが聞き取れなかった部分です。

現地で同席している高野さん、谷井さんが代わりに話してくださった部分を<>で表記しています。

1.毎日のこと

▸日々の過ごし方――散歩と音楽とお笑いと

インタビュアー

―普段の南保さんの生活から伺えれば、と思います。インタビューは初めてですか?

南保さん

―――です。

高野さん

<初めてです。>

インタビュアー

―最近はどんな1日、どんな1週間を過ごしてますか?

南保さん

デイサービスに、行ってます。

高野さん

お休みの日はどうですか。

南保さん

 家にいたり。買い物したり。

インタビュアー

―どんなところに行かれるんですか。

南保さん

うーん……。

谷井さん

コンビニとか?

高野さん

カフェに行ったりもされていますよね。

インタビュアー

―行きつけのカフェがあるんですか。

南保さん

はい(笑)。

インタビュアー

―カフェではどんなものを飲まれるんですか。

南保さん

コーヒー、飲みます。

インタビュアー

―最近、嬉しかったこととか笑ったことってどんなことでしょう。

南保さん

……。

高野さん

この前、南保さん、お笑い番組を見て笑っておられましたよね。

インタビュアー

―お気に入りのテレビ番組とか芸人さんがいらっしゃるんですか?

南保さん

チョコレートプラネット。
あとは。ナインティナイン(笑)。

インタビュアー

―チョコレートプラネットやナインティーナインが出てる番組をよく見てらっしゃるんですね。

南保さん

うん(笑)。

インタビュアー

―最近、興味があることや、お休みの日の楽しみはどんなことですか。

南保さん

音楽、聞きます。

インタビュアー

―音楽はどんなものを聞いているんでしょう。

南保さん

ASKA。

インタビュアー

―ずっとCHAGE and ASKAを流されてるんですか?

南保さん

はい(笑)。

インタビュアー

―よく聴いてる曲はどんな曲ですか。

南保さん

『PRIDE』。あと―――。

谷井さん

<『はじまりはいつも雨』>。

▸今日のおひるごはん

インタビュアー

―「ご飯をつくったり食べたりするのが好き」とも伺っています。ちなみに、今日のおひるごはんは何を食べられたんですか。

南保さん

ラーメン、食べた。

インタビュアー

―近所のラーメン屋さんですか。それともお家で?

南保さん

家でつくって。

インタビュアー

―ラーメンの具にはどんなものを入れるんですか?

南保さん

野菜を入れたり。

谷井さん

お肉は入れました?

南保さん

うん。入れた。

インタビュアー

―とんこつとか醤油とか味噌とかありますが、何ラーメンがお好きなんですか?

南保さん

味噌ラーメン。

▸you tube、インスタグラム、発信してます!

インタビュアー

―「youtubeやinstagramでよく発信をされてる」と伺っています。どんなことを発信されてるんですか。

南保さん

カラオケ、―――

谷井さん

<カラオケに行って、歌ったところを載せました>。

インタビュアー

―何を歌われたんですか。

南保さん

CHAGE and ASKAの『YAH YAH YAH』。

高野さん

すごく盛り上がってましたね。

インタビュアー

―そうなんですね。SNSは南保さんがご自身であげられるんですか?それともアテンダントの方と一緒に?

南保さん

一緒に、です。

谷井さん

自分でもされてますよね。

インタビュアー

―高野さん、谷井さんも南保さんの投稿をご覧になってますか?

高野さん

はい、見させていただいてます。

インタビュアー

―投稿の中で印象に残っているものがあったら教えてください。

高野さん

さっき、南保さんと打ち合わせをしてる時に「これ、後でちょっと言おうかと思って」っていうエピソードがあったんですが――今、言っちゃいますね。

南保さん、親父ギャグがお好きなようで(笑)。

私的に最近いちばん面白かったのが“キックバック”っていうワードを使ったギャグだったんです。

国会の裏金問題のネタなんですが、南保さんが投稿のコメントに「そんなお金があるなら僕にくださいよ」って言いながら、

“ご自身の足でキックして車椅子をバックさせる”というネタを動画で映してたんです。

それがすごく面白かったなっていうのと――あともうひとつ言っていいですか?

南保さん

はい。

高野さん

ハイボールとかのお酒がお好きで、よく「お酒を飲みました」っていう投稿があるんですが、ハイボールを飲まれた際に「美味しかった」っていうコメントとともに、

「野球のピッチャーが高めに投げることではないよ」ってギャグも書いてらして。

「はい、それもハイボールですね」って(笑)。

インタビュアー

―それはなかなかの親父ギャグですねぇ(笑)。
谷井さんはいかがですか?

谷井さん

あまり見れていないんですが、「CHAGE and ASKAの歌をよく歌われているな」って思います。

最初に支援に入った時に見せていただいたのは、ご自分で歌を歌ってる動画の投稿でしたね。

あと、南保さんが姪っ子さんと出かけられて、楽しんだ様子も載せられていて、そういう投稿が印象に残ってますね。

高野さんがお話された“キックバック”のネタ。
「今、国家議員の間で、問題になってる キックバックを再現してみたよ(^_^; 
そんなお金あれば、僕にくださいと言いたいです。本当のキックバックはちょっと疲れたよ(^_^)v オヤジギャグでした(^^;」(南保さんのインスタグラム投稿より)
2025年のハロウィンは映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』より、海賊ジャック・スパロウに変身。

▸大好きな“チャゲアス”の話

インタビュアー

―ここまで何度もお話に登場しているCHAGE and ASKAのお話を詳しく聞かせていただきたい、と思います。

好きになったきっかけはどんな時だったんでしょうか。

南保さん

高校生の時に、―――テレビを、番組を見て―――です。

高野さん

<高校生の時に、姉がテレビで観ていたり、ウンナン(ウッチャンナンチャン)がASKAのパロディをやっているのを観て知って、それでファンになりました(②)。>

インタビュアー

―ファン歴がすごく長いんですね。

南保さん

はい。

インタビュアー

―コンサートにもよく行かれてると伺ってます。どれくらいの頻度で行かれるんですか

南保さん

年に1回ぐらい。

インタビュアー

―最近行かれたのはいつですか?

南保さん

8月に、行きました。

インタビュアー

―家で音楽を流して聞いているのと、コンサートに行って生で歌声を聞くのは、全く違う体験なのでは、と思います。

生で歌を聞いてる時は、どんな気持ちになったり、体がどんな反応をされますか?

南保さん

―――。感動―――。

谷井さん

<実際に歌っとる姿を見ると、感動する>そうです。

インタビュアー

―私はCHAGE and ASKAのことをあまり知らないのですが――例えば、『YAH YAH YAH』という歌には“両手を挙げて歌う振り”がありますよね。そういう時は南保さんも手を挙げて歌うんですか(笑)?

南保さん

やります(笑)。

インタビュアー

―体を動かしたり、全身で音を聞かれてるんですね。
高野さん、谷井さんは一緒にコンサートに行かれたことはありますか?

谷井さん

南保さんとの関わりは、夜間しか入ってなくて。今のところないんです。他の事業所の方とはされているかもしれないですね。

▸カフェに行ったり、コンビニに行ったり。

インタビュアー

―先ほど、「カフェやコンビニに行かれたり」っていうお話を伺いました。よく行かれるところで出会った人や「こんな楽しみ方をしてます」ということがあったら教えてください。

南保さん

う――ん……。

谷井さん

カフェに行った時の楽しみ方――何かありますか?店員さんに会いに行くとか、美味しいもの食べに行くとか……。

インタビュアー

―今、カフェでの様子を思い出されてるんですね。
お顔がニコニコしてるので、伝わってきます(笑)。

カフェや居酒屋さんに行って、お店の人とはどんなお話をされるんですか?

南保さん

メニューの――、味を―――。

谷井さん

<メニューの中にあるものの味を聞いたりしてます>。

インタビュアー

―よく注文されるメニューはありますか?「ここのこれがおいしい!」とか、「これは必ず頼む」というような。

南保さん

―――牛タン。

谷井さん

<居酒屋で牛タンを頼む>? <牛タン>だそうです。

インタビュアー

――緒にどんなお酒を飲むんですか?

南保さん

瓶ビールです。

▸ふたりから見た、“南保さん”

インタビュアー

―高野さんと谷井さんに伺いたいのですが、「南保さんとこんなふうに過ごしてます」、「こんなところが素敵だな」と感じたエピソードがあったら教えてください。

高野さん

「南保さん、素敵だな」と思ったのは、おひとりで散歩をしに外出に行かれるところですね。

おひとりでカフェに行かれたり、ご自分の時間を満喫しておられるところです。

自分で決断して行動して、日常を楽しんでおられるところがとても素敵だなと思います。

谷井さん

僕は、いつも南保さんの横で一緒にテレビを見て過ごすことが多いです。南保さんはお笑い番組が好きで、見ながらよく笑っておられる印象はありますね。

確か、『ロンドンハーツSP』という番組で。

その時は、50TA(狩野英孝)がKing & Princeに楽曲提供するビッグプロジェクトとして、依頼主を知らされないまま制作を進めるドッキリ企画が放送されていました。

2.こどもの頃の話

南保さんは、生後1ヶ月の時、風邪をひいたのが原因で脳性まひという障害を持ちます。
その後、地元の養護学校に入学。

卒業してから現在まで、デイサービスや就労支援を利用して暮らしています。

▸ちいさい頃は、体を動かすのが好きでした

インタビュアー

―南保さんは、生まれてからはずっと富山ですか?

南保さん

そうです。

インタビュアー

―どんなところで生まれ育ったんでしょうか。

南保さん

田んぼ―――。

谷井さん

田舎ですもんね(笑)。<田んぼばっかりでした>。

インタビュアー

―ちょっと遡って――どんなお子さんでしたか?「こんなことをよくしてたな」とか、「こんな性格だったな」ということがあったら聞かせてください。

南保さん

運動。―――。

谷井さん

<体を動かすのが好きだった。学校では体育が1番好きだった>そうです。

インタビュアー

―どんなことをして遊んでいましたか?

南保さん

野球。したり。

谷井さん

野球をするのが好きだった?

南保さん

うん。

インタビュアー

―逆に「こういうのは苦手だったな」っていうことはありましたか。

南保さん

勉強、勉強――。

インタビュアー

―勉強? 勉強全般が苦手でしたか(笑)。

南保さん

はい。

▸中高生時代

小1~高3までの12年間施設に居ました。施設から学校に行って勉強しました。

僕は頭が悪いので勉強が苦手で、体育だけ好きでした。トレーニングして野球をするのが1番好きでした。
楽しい事や辛い事もありました。土日に家に帰って家族と過ごして楽しかったです。

(南保さんからいただいた書面より)

インタビュアー

――中学、高校になると小さい頃と違う活動があるのかなと思うんですが、どんなことをして過ごしてましたか

南保さん

高校の時、―――野球、トレーニングしたり―――。

谷井さん

<高校の時は、野球とトレーニング>ですかね。

インタビュアー

―学校の生活で思い出に残ってる友達や先生がいらしたら教えてください。

南保さん

―――先生がおって、おもしろい。お笑いの=――。

谷井さん

<おもしろい先生がいて、野球の話とかお笑いの話をしていました。>

インタビュアー

―先ほどから話を伺ってると、「結構、体育会系なんだな」と思いました。運動会とかも張り切って南保さんはされてました?

南保さん

はい。

インタビュアー

―週末になるとお家に帰っていたそうですね。
お母さん、お父さんとはどんなふうに過ごされていたんでしょうか。

南保さん

――話し――、買い物に。

谷井さん

<学校のことを話したり、買い物に一緒に行っていました。>

インタビュアー

―高校生の頃にCHAGE and ASKAと出会っていますね。
その頃、他に好きだった映画や漫画、芸能人はいましたか?

南保さん

うーん……。

谷井さん

好きだった芸能人とかいますか?

高野さん

スポーツ選手とか?

南保さん

中――。

谷井さん

<巨人の中畑選手>。

インタビュアー

―野球は、実際に試合を見に行かれたことはありますか?

南保さん

はい。

インタビュアー

―10代の頃ですか?

南保さん

はい。

インタビュアー

―お母さん、お父さんと一緒に野球を見に行かれたんですか。

南保さん

―――施設の、一緒に。

谷井さん

施設の人たちと一緒に行ったんかな。

南保さん

うん。県立――。

高野さん

<県営富山野球場っていうところに。野球はよく観に行きました。>

インタビュアー

―生で野球を見た時はどんな気持ちになりました?

南保さん

応援、応援、すごく―――。

谷井さん

<応援がすごく感じた。>

南保さん

うん。

インタビュアー

―野球の応援って歌がすごいですもんね。
その時も南保さんは、腕を振ったりをまわりと一緒にされたんですか?

南保さん

はい。

▸ずっと変わらないところ

インタビュアー

―こどもの時と変わってない自分ってどんなところかなっていうのを聞いてみたいです。「こういうところって変わらないな」っていうのがあったら教えてください。

南保さん

う――ん……?

谷井さん

今も体を動かすこと好きじゃない?

南保さん

好きです。

谷井さん

性格とかはどうですか?

南保さん

―――頑固で、―――。

インタビュアー

―ちょっと頑固なところがあるんですか?

南保さん

はい(笑)。

3.僕のひとり暮らし

高校を卒業して大人の施設に入所する予定でした。

でもその施設が満員で入れなくて、「空くまで実家で生活してください」と言われました。
1日中家に居る訳にもいけないので、ディサービスに通う事になりました。今も32年間通ってます。

そのデイサービスでは、週2日リハビリの先生が来られて、足を伸ばしたり手を伸ばしたりして緊張を解すリハビリをしてます。昼食食べて入浴したりしてます。

通ってる職員から、パンフレット見せてもらって「こんな障害者団体もあるよ」と紹介されました。
そこは送迎やヘルパー派遣会社でした。時々、遠足や飲み会などのイベントもあり楽しい事業所でした。

何回も利用するうちに仲の良い友達が出来ました。
仲良くさせてもらってる人から、「おまえも1人暮らしすれよ」と言われました。

どんなのか分からなかったから、「うちに来いよ」と言われて半分イヤイヤ行くと、その人はヘルパーさんに指示して料理をしてるのを見て、「こんな生活もあるのか!」とカルチャーショックをうけました。

その後家帰って親に「1人暮らししたい」と言って親は「ダメ」と言って、僕は何回も何回も言ってそのうちに「1人暮らしして良い」と言って、「キター」と思いました。

どうして良いか分からなかったので、その事業所に行って、1人暮らししたいので、どうしたら良いですか?と言いました。「自立支援センターに行った方が良い」と言われて、行きました。

自立支援センターで2年間ディサービスの帰りに寄って1人暮らしのトレーニングをうけました。

2年間行って自立支援センターの社長さんから「1人暮らしして良い」と言われました。

(南保さんからいただいた書面より)

▸1人暮らしを始めるきっかけ

インタビュアー

―学校を卒業してからは、就労支援やデイサービスに通われています。そこではどんなことをされているんですか?

南保さん

リハビリ。あと――――。

谷井さん

<空き缶とかペットボトル、新聞紙の回収をしてます>。

インタビュアー

―2013年に1人暮らしをはじめられます。はじめたきっかけについて、教えてください。

南保さん

――――1人暮らし―――。

谷井さん

 <NPO法人の職員から、1人暮らしのパンフレットをもらって。紹介されて、仲良くなった友人から。>

南保さん

うん。

インタビュアー

―最初にお友達からひとり暮らしの話を聞いた時は、南保さんはどう思いましたか?

南保さん

う――ん。―――興味、興味が。

高野さん

<最初は興味がなかった。>

インタビュアー

―では、そのあと、どんなときに「1人暮らしをしてみたいな」と思ったんでしょうか。

南保さん

―――友人、ヘルパーさんに、―――して。

高野さん

<1人暮らしをしてる友人がいた>そうです。その友人は、何をヘルパーさんに指示していたんですか?

南保さん

料理を―――指示――。

高野さん

<「あれして」「これして」って料理のことを指示しておられて、それを見て「いいな」と思った>そうです。

インタビュアー

ー最初、ご両親にひとり暮らしを反対されますが、お父さんお母さんにはどんなふうに「自分は1人暮らししたい」ことを伝えたんですか?

南保さん

――しに、――。

高野さん

<両親に、「施設に行くのは嫌だ」って言い続けました。>

インタビュアー

―その時、応援してくれる友達もいましたか。

南保さん

いなかった。

インタビュアー

―高野さんや谷井さんはこれまでのお話って南保さんと支援の中でされたりしますか。

谷井さん

僕は今までなかったです。今、初めて聞いたことばっかりです。

高野さん

私も今回がきっかけで、南保さんのことをちょっと深く知りつつあります。

インタビュアー

―実際に1人暮らしをしてみて、どうでしたか?

南保さん

最初、―――で、――――して。

高野さん

<N P O法人の相談役にわからないことを聞いたりしていた>。

南保さん

―――、いろいろ―――。

谷井さん

<いろいろ悩んだりしたけど、自立相談支援センターっていう、相談員さんがおられるところの人にいろいろ聞いたりしてやってきた>ってことで合ってますか。

南保さん

うん。

▸1人暮らしの楽しいところ、辛いところ

(1人暮らしを)いざしてみると、楽しい事や辛い事もあります。
楽しい事は、僕は高校の時からファンのASKAのコンサートや旅行にヘルパーさんと行く事です。

あとは毎日の夕飯のしたくする事です。何たべようかな~と考える事です。
料理作るのが面倒な時は居酒屋に行きます。楽しいです。

(南保さんからいただいた書面より)

インタビュアー

―1人暮らしの楽しいところはどんなところですか。

南保さん

自由に。―――できるとこ。

谷井さん

<自由になんでもできるところ>。

インタビュアー

―逆に、「こんなところがちょっと悩むな」「こういう時は辛いな」っていうのはどんな時ですか。

南保さん

―――っていうことが―――ときが―――いちばん。

谷井さん

<ヘルパーさんに言ってることが伝わらない時がいちばん辛い>ってことですか。

南保さん

うん。

インタビュアー

―伝わらない時は、南保さんはどうされるんですか?

南保さん

―――いうようにして――。

谷井さん

<言い方を変えたり、なるべくはっきり言うようにしている>っていうことですかね。

南保さん

うん。

インタビュアー

―南保さんはLINEやメールで伝えたりもされますか?

南保さん

はい。

インタビュアー

―今、南保さんがおっしゃったように、やり取りでわからないことがあった時、高野さんと谷井さんはどんなふうに関わっているんでしょうか。

谷井さん

そうですね。
基本的に、何回か言ってもらえれば必ず伝わるっていうことが関係の中でわかってるので、わかるまで聞くっていうことを僕はしてます。

これまでそれで困ったこととか、「これは伝わらんかったな」ってことはなかったように思うので、1回、2回、ちょっとわからん時はあるんですけど、何回も聞けば必ず伝わるので、何回も聞きます。

「何回も聞いていいよ」って南保さんも言ってくれるし、一生懸命伝えてくれようとするので。

高野さん

私もしつこく何回でも聞きます。
この間も「12月の31日」っていう話をされたんですが、「12月」まではわかったんです。

でも「31日」まではちょっとわからなくて。
そこ、10回ぐらい聞きましたよね。

南保さん

うん。

高野さん

10回ぐらい、リピートしてもらって。
申し訳なかったんですが、それでようやくわかって。

あと南保さんの伝えたいこととか、ちょっと長くなりそうな時はLINEで連絡をいただくようにしてます。

その時は、大晦日の相談でした。
大晦日は、実家に帰られるんですよね。

南保さん

うん。

▸アテンダント(ヘルパー)の存在

インタビュアー

―谷井さんと高野さんに伺いたいんですが、今、夜間の支援に入られてると伺ってます。

その時間帯は、どんなふうに過ごされているんでしょうか。

谷井さん

そうですね。

僕は夜間の支援に入っているので、まず南保さんのご自宅に到着してからは、南保さんは必ず水分を取られる習慣があるので、寝る前に牛乳をあっためて飲んでいただいてます。

それから排泄が終わったら、ひと段落して、一緒にテレビ見たりお話したりして、南保さんが眠たくなったり、「寝たいな」と思った時に声をかけてもらって、ちょっと向きを変えたりして寝ていただく――というような関わりをしていますね。

夜中には、体位交換をして水分補給をしたり。それからまた寝られます。

僕は朝の5時過ぎには帰るんですが、常に一緒ではなく、おひとりの時間があって。

その時間を取っていただくというスタイルで、早めに退出するような感じで関わらせてもらってます。

なので、あんまりたくさんお話したり、関わる時間はないんです。
ご本人のご希望に沿って――というところですかね。

インタビュアー

―高野さんはいかがですか?

高野さん

そうですね。

今は、今回のクライアントインタビューの準備とか、「受給者証(制度を利用するために市区町村から交付される証明書)が新しくできたので来てください」と連絡をいただいたり、そういったことで日中に伺うことが何回かあったんです。

その時の、夜の南保さんは割と毎日晩酌をされていて……

谷井さん

できあがってる(笑)。

南保さん

(笑)。

高野さん

なので、テンションが高い時と眠たい時とがありまして、その都度、ちょっと違った南保さんとお会いできるというか。

今がまさにそうなんです。
今日は「真面目な南保さん」っていうイメージがありますね。

インタビュアー

―南保さんが今、関わられてるアテンダント/ヘルパーさんは何人もいると思います。

南保さんにとって、「ヘルパーさんってどんな存在の人なのかな」を伺ってみたいです。

いかがでしょうか。

南保さん

うーん……うん(笑)。
(3人、顔を見合わせて笑っている)

インタビュアー

―ちょっと照れくさいですかね(笑)。

高野さん

目の前におるしね(笑)。

谷井さん

なんでも言ってください(笑)。

南保さん

とも――、とも――、――です

谷井さん

<友達>みたいな感覚ですかね。

南保さん

うん。

インタビュアー

―では逆の視点からも伺いたいです。もし南保さんがヘルパーさんだったら、病気や障害を持ってる方とどんなふうに関わりたいかを聞かせてください。

南保さん

やさ―――、――あげて――。

谷井さん

<やさしく接してあげたい>。

南保さん

はい。

インタビュアー

―高野さんと谷井さんは――南保さんとのやり取りの中で、印象に残ってるやり取りはありますか。

高野さん

私は、「南保さんってとても穏やかな性格で優しい」っていうイメージがあったんです。

でも以前、ちょっと苦手な人がおられたことがあって、「その人がちょっと苦手なんだ」っていう話をしてくださった時に、

「南保さんもいろいろお気持ちがあって、苦手な人とか、得意な人とかもおられるんだな」って――私自身、勝手に南保さんのイメージを思い込んでいたところがあって。

「反省だったな」って思いました。

インタビュアー

―お二人はそういう相談ができる関係なんですね。

高野さん

はい。最初、「ちょっと相談なんだけど」ってLINEで連絡がありました。

インタビュアー

―谷井さんはいかがですか。

谷井さん

僕自身、一緒にテレビを見て過ごすことはしてきたんですが、正直なところ、あまり南保さんとしゃべる機会がなかったんです。

でも先日、高野さんからのLINEに添付ファイルがくっついてて、「そのファイルの開き方がわからん」っていう相談を受けて。

そこで、ふたりでいろいろやりながら――僕も最初わからんかったんですけど――結局、ファイルを開けられたんです。

ふたりで試行錯誤して、そんな中で南保さんが笑ってくれたりして。
そんなやり取りで、ちょっとうちとけた感が僕の中にはあります。

「そんな機会があって、良かったな」って思ってますね。

4.今の生活を続けて、やりたいことをどんどん見つけて

▸1人暮らし、これからも何年も、何十年も

それから、たまに思うのはディサービスでもなくて、何か違う事やりたいと思います。
でも何をやって良いか分かりません。何ができるかな?考え中です。

(南保さんからいただいた書面より)

インタビュアー

―最後に、これからのところを南保さんに伺えたら、と思います。

「これからこんなことをしてみたいな」「こんなところに行ってみたいな」とか、そういう思いがあったら教えてください。

南保さん

―――と家の――、自分に――できて―――。

高野さん

<今、デイサービスと家の往復だけだから。>

谷井さん

<他に行く場所を持ってたらいいかなって。今それを考え中です。>

インタビュアー

―あたらしい、別の場所に行ってみたい――ということですか?

南保さん

―――みたい。―――――。

谷井さん

<具体的には決まってないけど>。どこか遠くに行ってみたい、みたいなこと?

南保さん

行かない―――。

谷井さん

<行かなくていいけど>。

南保さん

ちがう―――。

谷井さん

<違うことをやりたい>。

南保さん

うん。やって、やって。

谷井さん

と思ってる。<今まだ決まってないけど>、また違うことをやってみたい?行ってみたい?

南保さん

やってみたい。

インタビュアー

―今、それが何かを考えてるところなんですね。

南保さん

はい。

インタビュアー

―南保さんが普段大切にしていることとか、その中でも「今、これが僕にとっての宝物です」と言えるものがあったら教えてください。

南保さん

―――。

谷井さん

見せましょう。

高野さん

カメラ、まわしましょうか。

チャゲアスのファンなので、コンサート行った時のコンサートグッズがいっぱい壁に飾ってあるんです。

それを見せたいんですよね。

南保さん

うん。

インタビュアー

―見せてください!ぜひ。(壁面を見せてくださる)
すごい数ですね!Tシャツは、着ないで飾る派なんですね。

谷井さん

全部、コンサートで集めたグッズだもんね。

インタビュアー

―これが南保さんの宝物なんですね。ありがとうございます。

「こんなふうにこれからも暮らしていきたいな」という思い、夢を聞かせてください。

南保さん

――けて、―――。

谷井さん

<今の生活を続けて>……何かを見つける?

南保さん

やりたい―――。

谷井さん

やりたいことを。<今の生活を続けていって、その中でやりたいことをどんどん見つけていきたいな>と思っているってことですね。

南保さん

うん。

インタビュアー

―今日伺ったお話は、ホームページに掲載して、いろんな方に読んでいただけたら、と思っています。

同じ障害を持ってる方や、「これからヘルパーになろう」という人だったり、いろんな方が読まれる記事になると思います。

そういう方々へメッセージがありましたら、聞かせてください。

南保さん

(笑っておられる)

高野さん

(笑いかえす)

谷井さん

思ったことを言ってくださいね。

南保さん

自分、らしく―――。いきる―――。

高野さん

<自分らしく>。<ひとり暮らしして、自分らしく生きてってほしい>という願いがあるそうです。

インタビュアー

―南保さんが1人暮らしをされているお話を読んで、「自分もやってみよう」と思う方がいらしたら嬉しいですね。2時間ほどたっぷりお話いただきました。ありがとうございました。

<2023年9月、「1人暮らし10周年」 南保さんのインスタグラム投稿より>

僕はアパートでヘルパーさんに来てもらって1人暮らししてます。
今月で10年経ちます。この10年色々な事がありました。

僕の言ってることなかなか伝わらなかった事があって、今は なるべくゆっくりはっきりと喋るようにしてます。
風邪をひいて病院に行きたいと思って契約してる事業所に片っ端から連絡しても断られた時が辛かったです。

楽しい事は、僕は電動車椅子に乗ってます。
休みの日は電動に乗って1人でカフェやスーパーに買い物にする事が好きで良い気分転換になります。

毎日自炊してて献立を考えるのが大変て 時々ネットで検索して作る時もあります。

ヘルパーさんとコンサートや旅行に行って楽しかった事です。

毎日通ってるデイサービスに30年経ったり1人暮らししてから10年になるし、今年はanniversaryyearの年になりました。

これからも何年何十年も1人暮らし続けていきたいです。
宜しくお願いします。

2023年9月1日

南保さんへのメッセージ>

高野真由美さん(ホームケア土屋富山 管理者)からのメッセージ

南保さんの明るい笑顔や前向きな言葉に、いつも元気をいただいてます。

これからも、南保さんが自分らしく過ごせるよう、応援していきたいと思います。

▸谷井祐紀さん(ホームケア土屋富山 アテンダント)からのメッセージ

南保さんとお話しているとよく笑っている自分がいます。
それは常に優しくて笑顔で話される南保さんの人柄のおかげであり人を惹きつける力があると感じています。

そんな南保さんが安心して生活ができるようお手伝いできたらと思います。

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