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あなたの考える多様性の限界はどこまで?~多様性について思うこと~ / 曽根田拓史

あなたの考える多様性の限界はどこまで?~多様性について思うこと~
曽根田拓史

LGBT法案が可決されたことを初め、車椅子に乗られている方や外国人の方を日常生活で目にすることは多く、多様性について理解が進んできていると実感します。

障害、性別、人種、趣味嗜好に捉われることなくその個性が認められるという事は、当たり前のようで実はとても感慨深いものなのだと考えています。

皆さんは「トリーチャーコリンズ症候群」という障害をご存知でしょうか。

トリーチャーコリンズ症候群とは、5万人に1人の割合で発症すると言われる先天性の病気です。

典型的な症状としては、頬骨の欠損や小さな下顎や小耳病が特徴です。

その結果として重度な方になると、呼吸障害が生じ気管切開をされている方や補聴器を装着されている方もおられます。

知能的な障害は特にありません。

分かりやすく言えば、顔の奇形による見た目の障害です。

私には2歳の息子がいます。

息子はこのトリーチャーコリンズ症候群という障害を持って産まれて来てくれました。

産まれてきた当初は呼吸が安定せず、ミルクも、口から飲めない状態だったので経鼻管からの注入を行っておりました。

1ヶ月程度NICUで入院をし、産まれたばかりの小さな身体で沢山の検査をしてきました。

主治医の先生からトリーチャーコリンズ症候群だと告知をされた当初は、ショックが大きすぎて、気が狂ってしまい正常な思考が出来なくなっていたと振り返ります。

一時はどうなるのか心配でしたが、幸いな事に息子の努力もあってか今ではすこぶる元気で、近所の保育園に通って毎日元気に過ごしてくれています。

元気に過ごしてくれている反面、見た目の障害という壁にぶち当たる事も何度かありました。

ショッピングモールに息子と遊びに行った際、小学生くらいの子供に心無い言葉を投げかけられた事があり、大人気なく小学生相手に「息子が何かしたか?今すぐ親よんでこい!」と怒りをあらわにしてしまい、帰りの車の中で1人猛反省会をしたこともありました。

子供は純粋です。純粋さ故、思ったことを口にしてしまいます。悪気はないのはもちろん理解しています。

今後もこういう場面に嫌でも出くわす事があると思います。そう言った時にどう対応したらいいのか、どう息子を守ればいいのか、そう言ったことを私は日々考えています。

見た目は少し違うかもしれない。

ただ、トリーチャーコリンズ症候群の障害を持っている方で、医者として働かれている方やモデルとして活躍されている方、公務員として働いている方など様々な形で社会参加されてる方々がいます。

普通ってなに?ってわからなくなってしまう事があります。

見た目で苦しんでいる人がいる。

トリーチャーコリンズ症候群という障害が存在すると言うことをこのコラムを読まれた方に少しでも知って頂けたら幸いです。

障害を知る事で多様性が認められ、見た目で苦しんでいる方やその周りの方々が生きやすい、そんな優しい世界になってほしいと強く願っています。

プロフィール
曽根田拓史 ホームケア土屋 広島

島根県出身。
大学卒業後、アパレル関係の仕事に就くもブランド倒産により介護の業界へ。
派遣社員として高齢者施設を回り、2018年11月重度訪問介護の世界へ踏み込む。

現在コーディネーターとして日々業務に励んでいる。
キャンプ、釣り、ギター、バイクをこよなく愛している。

050-3733-3443