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『それぞれちがう働く喜び1』 / わたしの

『それぞれちがう働く喜び1』
わたしの

土橋:みなさんに福祉の仕事についてのお話を聞いています。福祉とは何なのか、聞く度に自分の理解が一面的なものにしか過ぎないことがよくわかります。

前回は高齢者福祉で働く澄さんに『看取りを経て考える死生観』について聞きました。今回は知的障害者の就労支援B型の事業所で働く剛さんにお話を聞いてみたいと思います。

剛さん、よろしくお願いします。

剛:よろしくお願いします。

土橋:今回のテーマは就労、働く、です。

―この後、都内にある3階建ての作業所内を案内してもらい、ご利用者が働く作業場を見学させてもらいました―

土橋:今、館内を案内してもらいました。知的障害者の就労支援の仕事って聞くと、単純なイメージだと利用者さんがお仕事をする場、その利用者さんの仕事をサポートするのが職員の役割というイメージなんです。単純な理解ですと。そのあたりはどうでしょうか?

剛:そうですね。それで間違いないです。それは、大きな枠組みなんですが、細かく見ていくともっと複雑です。

土橋:どういうことでしょうか。

剛:大事なのは仕事や仲間なんです。仕事を通して成長したり、仲間と関わったり協力する中で成長していく、それをサポートするのが職員の役割なんです。

土橋:そうか、すでに自分がイメージしていたものがいかに単純だったか気づかされました。なるほど。要するに「仕事をしろ」「働け」っていうことじゃないんですね。障害のある方を集めて働かせて利益を上げていく、そのための管理をしているということでは全然ないんですね。

剛:仕事をしているのが楽しいとか、仕事をすることで工賃をもらえる、その工賃を何に使うかとか大事なことがたくさんありますよね。ただ単に仕事をお願いしますっていうことじゃないんです。

土橋:なんのために働くか、そこをサポートするっていうことですね。そこは生活介護施設でも共通しているのだろうけれど「幸せ」を目指して支援しているということに変わりはないんですね。

剛:例えば、仕事を通して職員と関わることで関係性ができてきて、そうすることで悩み事とか相談してくれるようになるんですね。その相談をすることで、一緒に解決に向かうことができる。解決する主体はもちろん本人です。ただ何に困っているのか、相談してくれないと解決に向かうこともできません。

土橋:悩み事って誰にでも打ち明けられるものじゃないですものね。本当に信頼して、この人に言っても自分が不利にならないって実感していないと言えないよね。

剛:そうですね。何に困っているか丁寧に聞いて、じゃあどうしたら解決できると思うって投げかけていきます。

土橋:そのとき出てくる悩み事って仕事のことなんですか?それともプライベートのことなんですか?

剛:いろいろあります。体調が悪いとか、全然関係ないような質問だったり困りごともあります。

土橋:人それぞれなんですね。

剛:就労支援の仕事は作業がベースであることは確かなんです。ただその作業を通して利用者さんが本人らしく生活できるということをサポートしていくのが我々の役割です。

土橋:少し理解が深まりました。

剛:でも、基本はお仕事なんです。だから仕事を持ってこないといけない。仕事を集めてこないといけない。一番困ることは仕事がないという状態です。それが利用者にとっても一番困る。みんな仕事をしにここにきているから、自分の仕事が世の中に出て、それがお金になるということも一方で大事なんです。

土橋:やることがあればいいということではないのですか?やっぱり対価を得ないといけないんですか?

剛:いけないと思っています。それが職員の仕事だと。

土橋:それは法律で決められているからということですか?

剛:いやそれは法律で定められているからということではないんです。みなさんに工賃をお支払いするというのが我々の大きなミッションの一つでもあるので、収益を上げてそれを利用者に渡すことが大事なんです。

土橋:生活介護施設ですと、ご利用者が工賃というか、お金というものの概念を理解されていない方も多いんですね。こちらのご利用者は工賃を楽しみにしていたり、そのためにがんばるということがあるから職員もみなさんに工賃をお支払いすることを守るというか、ミッションの一つにして努力しているんですか?

剛:実は工賃の理解度はこちらでも判断が難しいところがあります。工賃をこのくらいもらいたいから頑張るという人もいれば、工賃の概念が分からずにいる人もいます。

土橋:そうなんですね。

剛:ただ、みなさんここに来るということがイコール働くということは意識していると思います。

土橋:それは、稼ぐために働くということだけではなくて…。

剛:じゃないですね。もちろんお仕事が好きな人もいれば、仲間と一緒にやることが好きという人もいます。どんなことでもいいんですが、やっぱり作業を通して何かやりがいを見つけるということではあります。

土橋:少し就労支援の仕事が分かってきた気がします。実際働く中で職員が大切にしていることはどんなことでしょうか?

剛:報告相談連絡ってとても大事にしてるんですね。お仕事のミスがあったときに、そのミスが報告できなくてそのまま続けてしまうとそこからさらに多くのミスが生まれてしまう。そうするとやっぱりよくないので、報告連絡相談ができる環境づくりは大事です。

土橋:次回につづきます。

プロフィール
わたしの

1979年、山梨県生まれ。

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