「誰かとかかわる」を深めていく、もっと、優しく~重度訪問介護の資格を取って働いてみて思うこと~
長瀬賢亮(ホームケア土屋 高知)
2019年11月、異業種から介護業界への転職を控えていた私は、入社前の資格取得の為の研修を受けました。
私が受けたのは9時~21時の2日間という長時間の研修でしたが、初めての介護の研修ということで、介護についての新鮮さや転職に対してのワクワク感があり、あっという間だった記憶があります。
終了後どっと疲れを感じましたが…
実習先では講師として障害当事者の方も来ていただいておりました。
その方は脳性麻痺の方で、初めて重度障害の方と接して話の内容や話し方、しぐさ等に内心とても驚いたことを覚えています。
比較的簡単に資格取得はできたのですが、簡単に取れたが故に未経験の私は少し不安に思うところもありました。
その後、実際に支援入り約2年が経過しましたが、もちろん資格は大事ですが、それよりも大切な事があるなと思い勤務しております。
土屋には12個のバリューがあります。
その中で特に気をつけている事について書こうと思います。
「優しく、そして、強く、品位をもって、他者と関わる」
「あらゆる人間関係の基盤は信頼、まず自ら信頼を提示しよう」
私は約10年間、小売業で勤務してきました。
関わる相手がモノや機械であればルールを決めてその通りにするだけで良いですが、それとは違い、介護は人と人の関わりがとても深く、特に重度訪問介護は長時間の支援なのでなにより大切なのは関係性だと思いました。
そのため、上記のバリューがとても大切だと考えています。
良い事ではありませんが、支援中に何か失敗した時や忘れていた時、関係性が良ければ笑い話で終わることが多いですが、逆に関係性が悪ければ失敗した時は怒られますし、それ以前に失敗もしていないのに怒られたりすることもあります。
以前、このような事がありました。
クライアントAさんはアテンダントBさんが足を持ち上げる支援をしても何を言わないが、アテンダントCさんが持ち上げると不快な顔をされます。どう見てみても持ち上げ方は同じです。Aさんに聞いても「何かが違う」との事。
「いや、やり方一緒なのに…何が違うのか…」と思った事がありました。
あとで考えれば、CさんはAさんの支援に入り始めたばかりで、お互いに不安なのか見守り時間等のコミュニケーションも充分とは言えませんでした。
この出来事から的確に支援をする事はもちろん大切ですが、それ以上に日頃の関係性の構築が大切だと感じ、それが一番重要で難しい事だなと思いました。
そして、同行者の私がそのように導けなかった、コミュニケーションが図りやすいような環境を作ることができなかった事を反省しました。
資格より大切な事があると思い勤務してきましたが、それは勉強しない為の言い訳の部分もあったのかもと最近思うようになりました。
いままでの考えに大きな変化はありませんが、資格を取得する為の知識習得は的確な支援に繋がり、それは関係性構築の助けになりますし、様々な事を判断する為にも当然必要なので、いまは資格取得に向けて取り組んでおります。
ですが、資格が仕事をしてくれるわけではないので、資格取得だけが目的にならないように知識として身につけると共に、今までと同様、関係性の構築に重心を置いて勤務していこうと思います。
関係性さえ構築できれば介護未経験の方でも存分に活躍できる仕事だと思っていますので、そういう方のフォローにも注力していこうと思います。