ぷくぷく姫のさえずり No.6 続「視覚障がい者の前での行為」
水島恵
早速、前回の続きです。
私の経験ではなく、知人や友人から聞いた話から感じたことを書いてみます。
1つ目の話は、知人がその方の友人から聞いた話で、視覚障がいのある夫と晴眼の妻が海外のレストランで食事された時、ご夫婦ともに同じメニューをオーダーされて、それには夫の好物があり、妻は何も言わず、そっと彼の好物を、彼女のお皿から彼のお皿に入れたそうです。
それに全く気づくことなく、彼はそのメニューの中に好物が「たくさん入っている」と思って食べたそうです。
彼女の行為を見ていた店員が「大和なでしこ、内助の功!」とご夫婦に言われたらしく、そこで彼は事実を知ることとなったそうです。
この実例は、妻の行為には悪意がなく、そっと優しく思いやった行為です。
彼がどう感じたかは確認できませんが、私が彼と同じ立場だったら、一生知ることがないなら、考えも及ばなければ、幸せ者で片付くのかもしれませんが、この例のように知ることになった時、知らなかった自分がとても恥ずかしい気持ちになったり、「確認してくれないのか」と少し不快になると思います。
彼女は彼に言えば、彼は好物とはいえ彼女の分まで食べることはしないと判断しての行為だったんだろうとは思うし、この行為が夫婦にとって大した出来事でなければ問題ではないですが。
私は晴眼者の友人とランチに行った時、必ず確認してから世話をやいてもらいます。
友人が「靴、私と一緒に入れとくよ」と言えば、ゲタ箱番号を教えてもらったり何列目何段目など確認します。
私が靴を取り出すわけでもないのですが、前回にも書きましたが、自分の持ち物はどこにあるのかくらい知っていて、持ち物には責任を持たないとと思っています。
コーヒーや紅茶を飲む時、「ミルクいる?」「砂糖いくつ?」などやりとりがあるので、入れてくれることを知ることができますが、○○定食のようにお膳にたくさん食器があって食べ終わった食器同士をそっと重ねたりするのは確認する必要がないから勝手にされていても知ることができません。(ちなみに食べ終わった食器同士を重ねるのはマナー違反です。)
やはり「空いた食器重ねるよ」とか「重ねたよ」と言ってもらいたいですね。
そうすれば、「それマナー違反よ」と伝えて、自分ならしないことやしたくないことを伝えられて自分の行動に責任持てるのですが、この例でいうなら、自分ならしない食器重ねを知らない間にされてしまっても、私のお膳なのですから私の責任でしたこと(マナー違反)になります。
食事した相手に悪意がなくて親切心でした行為であっても「知らない間に本意でないことをしてくれた」と感じてしまい、心からの感謝ができなくなってしまいそうです。
ここまでは、善意からの行為の話でしたが、2つ目の実例は、悪意とはいえないかもしれませんが、不愉快の何ものでもない実例からの話です。
が、次回へ続く。