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そばにいること~重度障害を持つ人たちが発する命のエネルギー~ / 桑原実

そばにいること~重度障害を持つ人たちが発する命のエネルギー~
桑原実

「『重度訪問介護』って、何ですか?」

この仕事を始めてから、多くの人にこの質問をされました。

重度訪問介護は、障害者総合支援法に基づいた「障害福祉サービスのひとつ」です。

24時間365日昼夜を問わず長時間対応が可能です。身体介護、生活支援、移動介助など総合的なサービスを提供できます!ホームケア土屋は在籍している全スタッフが医療的ケアの資格を取得していますので、喀痰吸引・経管栄養などにも対応できます!

このように、私は「重度訪問介護ってどんな仕事?」って聞かれる度に、できることや知っていることを必死に伝えようと説明してきました。もちろん、それらは全て事実ですし、「本当に素晴らしいサービスだな」と、今でも思っていることに変わりはありません。

ただ、私が重度訪問介護の素晴らしい部分を、「本当に」認識できたのは一冊の本に出会ってからかと思います。

『この体が平和をつくる』安積遊歩さんの本です。

著書の中で遊歩さんは

『この制度は人が1人になることを止める。一見具体的な介助が必要だという人のみに機能するかに見えるが、介助者自身にとっても1人にならないで済む時間でもある。今までの労働のイメージとは遠く、どこかの誰かのために仕事をするのではなく目の前の人のために自分が存在するという制度なのだ。』

と語られていました。

私は、アテンダントの仕事内容でもっとも大事なことは『そばにいること』だと思っています。

クライアントが暮らしていく中で、起きて、呼吸をし、食事を摂り、笑い、人と触れ合う。障害のない人が当たり前にしていることを実現できるようアテンダントはそばにいて見守ります。

この「『見守り』という行為を介助の一部として認めたこと」こそ、重度訪問介護の一番素晴らしい点なのです。

そして、それは私たちアテンダントにとっても『生きる』ということに戦い続ける人を前にして、命の尊さを見出す時間にもなりました。

クライアントのパワーにはいつも圧倒されます。その思い通りにならない身体一つで、いったいどれだけの人たちに影響を与えていることでしょうか。何人の雇用を生み出し安定した生活を与えてくれていることでしょうか。クライアントやご家族が『自宅で暮らす』という決断をしたことで多くの人の今があるんです。

もちろん、どんなに寄り添いそばにいようと当事者の本当の心を理解することなどできはしませんが、それでもやるべきこと、やらなければならないことがそこにはあります。

1人1人に向き合えるような、やりがいのある仕事を探している人がこのコラムを読んで少しでも重度訪問介護に興味を抱いていただけたら幸いです。

プロフィール
桑原 実 ホームケア土屋 関東

050-3733-3443