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『誰かの幸せを考える幸せ』3 / わたしの

『誰かの幸せを考える幸せ』3
わたしの

前回『誰かの幸せを考える幸せ』2はこちら↓
『誰かの幸せを考える幸せ』2 / わたしの | 重度訪問介護のホームケア土屋

桃:今、とてもありがたいことに自分の母親に手伝いにきてもらって子育てをしているんですけれど、これまで母親のことってちょっとうるさいな・・・とかって思うこともあったんです。

それで喧嘩することも少なくはありませんでした。

そんな母がきてくれて、私の子どもに向き合っている姿を見ていると、母の子育てを自分がもう一回体験するような気がするんですね。

どうやって子育てされてきたのかは覚えていないので、はじめて母親の子育ての価値観に触れるんです。

土橋:なるほど。客観的に見てるわけだ。子どもに対してこう向き合うんだな、この人は、と。

桃:子どもと孫というのはまた違うとは思うんですけど、意外と丁寧なんだな~って(笑)。

土橋:ハハハ(笑)。

桃:冷たいおしりふきで私が拭こうとしていると、おしりはちゃんとお湯で拭いてあげなさいって言うんです。子どもに対する接し方とか所作とか、とても丁寧で、それを体感してはじめて「母親ってすごいな」って思ったんです。私もこうやって育てられたんだなって。幼児のころのことなんてなんにも覚えてないじゃないですか。

土橋:そうだね。

桃:それでほっとしたっていうか。

だから自分はちゃんと・・・ちゃんとっていうか、愛着を母に抱いて、母もそれをしっかりと受け止めてくれた時期が確かにそこにあったんだなって思って、だから今、自分は生きていられるんだなって実感したんです。

土橋:おー。

桃:それで息子を見ると、子どもってすごい求めてくるじゃないですか。この求められ感ってすごいなと思うんですよね。

何も分からないのに、とにかく親を求めてくるから、それを突っぱねちゃったらこの子は生きていけないんだなって思います。

親ってこんなに必要とされているのかと思った。

土橋:「母になって母を知る」ということですね。

桃:母は私にとって、空気のような当たり前の存在だったんですけど、だけどそうじゃなくて・・・最近は時々自分のへそを眺めて、このへそでつながってたんだなって。

土橋:すごい似ているなって思うことはある?

桃:似ているなってよく思うのは「味覚」ですね。よくおいしいから絶対好きだから買ってきたって言って食べ物を買ってきてくれるんです。

土橋:やっぱりおいしいの?

桃:おいしいですね。

あとは気にしすぎるところが似てますね。子どもは生まれてすぐ入院していたんですけど、私と同じ温度で心配したり泣いたり落ち込んだりして(笑)。

土橋:(笑)情深いんですね。

桃:今が一番母のことを尊敬していますね。

土橋:その尊敬の念はどこからくると思いますか?

桃:このうえない愛情を子どもに注ぐんですよね。

土橋:桃さんも注がれてきたんですね。たっぷりと浴びてきたんですね。

最後に、このインタビューのテーマにもなっています「幸せ」について教えてください。

桃:月並みだけど、家族だなって思います。

はじめは一人でなんとなく生きていたけど、紆余曲折を経て、現在は素敵な伴侶に巡り会えて、そして子どもができて、そのふと考えると私に子どもなんているんだっけって思っちゃうんですけど、そんなあまりにも大事な存在ができて、今までは自分の体とかやりたいことだけ大事にしてればよかったけど、自分じゃない誰かの幸せを考えること自体がすごい幸せだなって思ってます。

土橋:「自分じゃない誰かの幸せを考えることが幸せ」いいですね。

桃:息子と添い寝をしているんですけど、寝てると視線が合うじゃないですか、機嫌がいいとニコって笑ってくれたりして、顔つき合わせて。

あーなんて幸せなんだろうってちょっと、あれは泣きそうになるくらい幸せがあったりするんですけど。

大変なことはたくさんあるんですが、そこに向き合えているのが幸せですね。

自分が子育てをするようになってから、例えば私がこれまで関わってきた施設を利用されている知的障害のある方のご家族の気持ちが少しだけやっとわかって・・・はじめて子どもを大事に思う気持ちがわかって、今まではうわべだけだったんだなって反省したんです。

中にはちょっと圧のある、難しい家族の対応とかしていたけど、そのときは、どうして?なんで?責めてくるんだろうっていう気持ちがあったんですけど、今ならあの気持ちに寄り添えそうな気がするんです。

自分も簡単にああなるよなって思うんです。

土橋:ちょっと掛け違うとね。

桃:そう、私もそうなります。

自分の見えないところで預けている子どものことを思えば心配になって、何かあると問い詰めたくなる可能性があるし、不安だし、それがやっとわかって、反省したりしてるんですけど・・・。

土橋:まさに「わたしの」ですよね。わたしの子どもっていうやつ。その気持ちですよね。目に見えない!

桃:そうなんです!

だから、「わたしの」がやっとわかったって思ったんです。「わたしの」ってこういう意味かって実感したんです。

子育てするようになってやっとわかったことがいっぱいあって、反省したり、今ならああ言ってあげられたなとか、思ったりします。甘ちゃんだったなって。

土橋:これからもたくさんいろんなことを実感しながら、たいへんなこともたくさんあるでしょうけど子育ても、自分らしく生きることも楽しんでください。いつも応援してます。

これでインタビューを終わりたいと思います。今日はありがとうございました!

桃:ありがとうございました!

土橋:またお話聞かせてください。

おわり

プロフィール
わたしの╱watashino

1979年、山梨県生まれ。

バンド「わたしの」
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